第12話 ???。
店がお休みの日の夜、俺は店に来ていた。
なぜわざわざ来ているかというと、今日はお忍びのお客さんが来るからだな。
アパートでゆっくり寝ていたいところだけど相手さんは忙しい人だからしょうがない
チャリンチャリーン
「久しぶりだな、店主よ」
「そうでしたか? 年を越してからも何回か会いましたよね」
「そうだったか、時が経つのは遅いものだな」
「それだけ充実してるってことじゃないんですか」
「どうだろうなぁ。案外暇なものだぞ?」
「まぁ、一杯どうぞ」
「おぉ、すまんな。お前もほれ持て」
「ええ、それでは……」
「「乾杯!」」
「やはり酒を飲むならこうでなくてはならん」
「どういうことですか?」
「城の連中は酒の飲み方を知らんやつらばかりだからな、全く……」
「あぁ、そういうのも嫌いじゃないですけどね」
「……偶にならいいのだがな」
「それで最近調子はどうですか?」
「ふん、まだまだだな。どの国の者共も物足りん。この前は火の国の者が来たが、この国の者と大差なかったな」
「まぁ、経験を積んでいる最中のはずですからね、何処の国も」
「このままでは一体いつまでかかるかわからんがな」
「そこは長い目で見てもらうしかないんじゃないですかね」
「だが、このように城から抜け出しでもしなければ退屈で仕方が無い」
「この国の勇者さんには強力な助っ人がつくかもしれませんよ」
「ほう、助っ人か。たしか、シスターが一人だけだったと思うが」
「もしかしたら、魔法使いさんが仲間になるかもしれません」
「くっくっくっ、いいぞいいぞ。我を打ち倒せるのであればどんな猛者も歓迎しよう」
「勇者さんもまだまだ強くなるでしょうし、近いうちに達せられるかもしれませんねぇ」
「我もそう簡単には負ける気はないがな!!……まさか敗北など喫したら、あやつに何といわれるかわからん……」
「勝手なことを宣言しちゃうからですよ」
「ふっ、敗北しなければいいだけだ」
「そんなことだから怒られるんですよ……」
「何か言ったか」
「……いえ、何も」
「……くっくっ、別に我はお主でもいいぞ」
「勘弁してくださいよ」
「ふん、……つまらんな」
────シュバッ
「ご主人様、そろそろ帰りますよ」
「なっ、いつの間に!」
「それでは失礼いたしました店主様」
「くっ、まだ私は……」
「明日に差し支えますので、失礼を」
「っ、ぐふっ!」
「それでは、今夜はこれにて」
「……ええ。またいつでも来てください、と」
「はい、承りました」
帰ろう……。
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「先輩、眠たそうですね。また夜出かけてたんですか?」
「……ん?うーん。」
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