ソウルメイトとの出逢い方

慧里子

第1話 0愚者(フール)「旅の始まりであり、終わり」の巻

毎日の生活の中で感じていたことは、

より多くの人を癒さなければいけないという

言葉にはならない思いがあった。

仕事はつまらなくないし、毎日何らかの問題を身体や心に抱えた人達が来店する。

しかし、自分にはちょっとした願望があり、

仕事とは別の「何か」が出来るのではないかと思っていた。


“いよいよ自分は変わる!”と思った瞬間が訪れた。

とあるスピリチュアルカウンセリングを受けたのだ。


以前から地元で有名になりつつあったその店は

三ヵ月後ではないと予約が取れないという盛況ぶりだった。

実際自分はそういった類のことを馬鹿にしていたが、

実際に受けてきた友人は、以前と変わって自身と希望にみなぎり

将来のことをこのように嬉々として話す。


「スピリチュアルカウンセラーの彼女に

『あなたは将来結婚し、子どもが二人できて、マイホームに住む』

と言われたんだよ」

と。

いやに私はびっくりした。

女性というものは結婚が大切で、将来の家庭とか、

住む場所とかそういったことで喜ぶもんなんだ・・・。

こういった価値観は正直自分には無く、どんな職業が自分に向くのかとか、

今のお店を大きくするにはどうしたらいいのか?

集客の方法はどうしたらいいか?

スタッフの教育は?

ということばかり考えていた。


理解に苦しんだが、ここで自分の考えが一変することを彼女が言った。

「自分の前世は『インディアンで今のお母さんが前世でもお母さんだった』」

ここに私は理由も無く強く惹かれてしまった。

これは是非聞いてみたいと思った矢先、彼女は又興味深いことを言った。

「私のオーラって珍しいらしいよ。水色みたい。」

そのとき仕事をしながら聞いていた手が止まった。

水色?その色はどんな意味を持つのだろうか?

もし自分の身体から発せられる色があるならば、

同じ色のワンピースとか着れば映えるかもしれない。


仕事もそうだが、そのとき自分の興味は買い物で、

ファッションセンスを試される場で、講師をしていた関係で

色の話は自分のアイデンティティをより高めてくれるとそのとき感じる羽目になる。

毎日の仕事でなんとなく疲れていた私は

その時友人に共感するエネルギーが殆ど無かった。

そういった不思議な世界を忌み嫌う部分と、逆に猛烈に欲する部分の両極で

とてもその話を自分の中に受け入れるか迷ったが、

最終的にはそのときは敬遠してしまい、

友人の話を少し受け流す程度で終わる。

しかしその三ヵ月後、猛烈に会社に絶望した私は

その友人に連絡をとり、スピリチュアルカウンセリングの予約を取るに到った。

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