夢世界物語 一期一会の世界にて
後藤 悠慈
贈り物の番号は唯一の
僕はやっとのことで目的の地へと辿り着く。数多くの謎と勘違いで多くの場所に振り回され、変な組織にも追われたりしたが、それももうこれで終わるだろう。
「やっと、これで終わるんだな」
「そうだね。この何を意味しているのかも分からなかった番号との付き合いも、これで終わりさ」
あの日、あの時、彼女が僕に残した番号。すべてはそこから始まった。何も成しえなかった僕に、かけがえのない経験と世界に駆り出してくれた。当時の僕では持たないであろう感情を抱えて今、そこに居ない彼女に向けて感謝を述べる。
「そういえば、結局君は最後まで来てくれたね」
「そりゃそうさ。俺は物好きだからな」
「そうでありたいと勘違いしたいだけでしょう? まあ、感謝してるよ、ありがとう」
「おう、諸々の感想は終わらしてからな」
そういい、僕の背中を強く押し出す。僕が止まった先には、6桁の数字を入れる円形状の筒があった。それを丁寧に手に持ち、そして、最期の一番簡単な謎に挑戦する。ここに入れる番号は、一番最初に手に入れている。彼女からの贈り物の番号は唯一の旅の終着点。
僕はこの旅を一生忘れることはないだろう。
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