異世界に飛んだ餓死ゲーマー!
稲荷 里狐
第1話 中卒ゲーマー、受験に失敗し異世界へ
ゲーム、それは勝負、または勝敗を決めること。守るべきルールがあり、行われる行為である。それは本当だろうか?ちゃんと守るべきルールがある上でゲームが行われているだろうか?それは否だ。理由としてはとても単純で誰でもわかることだ。それはズル、つまりチートをすることだ。チートと一口に言っても内容は様々な物がある。例えば所持品の数を999にしたり、ステータスの書き換え、瞬間移動したりなど山ほどある。それらは誰もが一度は体験したことがあるだろう。もちろん俺にだってある。それはとあるレースゲームだった。そのゲームは一般的なレースと一緒で決められたコースを3周してタイムを比べるものだった。俺はそこで出会ってしまった、チーターに。チーターはレースが始まるカウントダウンの時点で雷を打ち全員のスピードを出しにくくしてきた。そして、レース中は途中で落ちているアイテムを操作し有利になるようにしてきた。俺はその行動にイラつき何としても勝とうと食らいついた結果、1秒差で勝つことが出来た。勝てた瞬間、俺の腕から力が抜け勝利に浸っていた。
だが、それは容易に出来ることではなくただのまぐれだった。まぐれが引き起こした勝利に俺はそこまで達成感を得ることも無かったため、練習することにした。
俺はそのときまだ中学生だった。しかも3年生だ。誰もがわかるようにこの時期は自分の将来をどうするかの第1ステップだというのに俺はひたすらゲームをした。学校では授業が早く終わらないか時計とにらめっこをし、帰宅したかと思えば即ゲームという怠惰な生活を送ってきたせいで受験を失敗し、親には飽きられ家から強制退去させられた。行くあてのない俺は自転車で隣街に行ったりしていたが、中学生である俺は警察に見つかり補導され自宅に強制送還されたかと思えばまた強制退去させられてしまった。どうするにも出来ない俺は駅近くにあるネカフェに行くことにした。
ネカフェに行くが財布の中身は野口が4人いた。それが自分の全財産だと理解したのにも関わらずそれを一日で使い切るというバカとしか言えない行動を取ったせいで、15歳でホームレスになってしまった。
ホームレスでまだ未成年の俺は働くことも出来ずお金を作ることが出来なため、現代では珍しい餓死でこの人生を終えた。
とても阿保らしく馬鹿らしい人生を終えた俺を待っていたのは何もない暗闇で無く、俺と背丈が同じくらいの少女だった。
俺の目の前――いや、少女の目の前に現れた俺はどうすることもなく少女を見つめていると、暗かった周りが急に晴れた。
そこに現れたのは、ゲームでしか見たことがなかった生物たちだった。その生物たちは自由奔放に空を飛び、地を駆けていた。俺はその光景に胸が高鳴っていると、少女がわざとらしく咳ばらいをした。
俺がそれに反応し、そっちを向くと初めて少女と目が合った。少女の目は右目が赤色で、左目が青色をしていた。これを俗にオドッアイと呼ぶらしい。キャラメイキングが出来るゲームでよく目にする奴だ。
「えっと、どちら様?」
「どちら様ってねぇ?少しは口の利き方位ちゃんとした方がいいよ~まぁ、今回は許してあげる。……さて、さっきの質問に答えると私はこの世界を治めている王様みたいなところだよ」
少女はそういうと俺に近づき胸に触れた。
「えっ?えっと、何をしてるんだ!?」
「そう慌てないで。あなたの人生を見ているから。……へぇ~ゲームが好きだったんだ~、ん?お!チーターに勝ったことがあるんだ!いいね~面白いね~よし!決めた!」
少女は俺の胸から手を離すと手を握ってきた。
「これから君が目にするのは嘘のような現実。さっきから目にしていた生物が生きる世界に君は行く。なに、問題ないから心配しないで。……この世界は全てがゲームで決まる。君が苦手の分野でも私が力を貸してあげる。……ほら、行くよ。目を閉じて」
少女に言われた通りに目を閉じると、先ほどのよくわからない感触から地面の硬い感触に変わった。
「目を、開けていいのか?」
「いいよ」
目を開けるとそこは芝生が広がっていた。そして、周りには動物の気配を感じなかった。
「ようこそ!私の世界に!まだ自己紹介をしてなかったね。私の名前はキト。さっきも言ったように王様見たいなことをしているよ。よろしく!……さてと、君にこの世界のルールを教えないとね」
少女は懐から1枚の紙を取り出した。そこにはこう書いてあった。
『1つ、すべての争いごとはゲームで決まる。
2つ、ゲームをするにはお互い何かを賭けなければならない。
3つ、賭ける物は世間一般的に同じ価値を持つ物なければならない。
4つ、プレイするゲームを決定するのはじゃんけんで勝った者とする。
5つ、敗者は賭けの内容を絶対に守らなければならない。
6つ、集団戦の場合は、必ずリーダーを作らなければならない。
7つ、ゲーム中の不正は発覚されなければしても良い。
8つ、このルールは世界王キトの名の下、絶対不変とする。
9つ、キトが死亡した場合、全種族のリーダーで王決定戦を行う。
10、決定戦で優勝した者はキトの補佐である者とゲームを行い、勝利した者 次期王とする。
以上10か条をこの世のルールとする。』
と書かれていた。
「これに書いてある、補佐って誰なんだ?」
「はぁー、口の利き方を直したら教えてあげる。私の体格が君と似ていても、年齢は何倍もの差があるんだから気を付けてね」
「……誰なんですか?」
「それはね……君なんだよ。今から君は私の補佐になってもらうよ。君はまだこの世界に来たばっかというのもあるし、一緒に町に行ってあげる。心配しなくても大丈夫。変装はするから」
少女はそういうと、白髪から俺と同じ黒髪になり瞳も黒色になった。ぱっと見、兄妹と思われるような感じだ。
「それじゃあ、行こうか」
俺は少女に手を引かれるまま歩き始めた。
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