痛みの根から恨みの華が開花する


 白いシーツの土の上 根が這うように横たわり動けない 

 ただ耐える 耐える 耐えがたきを耐えて それで得るものはなに?


 誰かの為に 我慢して 淘汰されていく 名も知らぬあなた

 

 懸命に生きて 終りは紙の上で一行にすらない。


 無機質な数字の一つとなって記されていく。


 ふと風が吹く 口からヒューヒューと


 それは夜風で揺れる葉のように 呼吸器が締め上げられて擦れる音 

 

 誰も知ることなく 知らされることなく 増えて 消えていく 私達


 暗い夜の間に 朽ちて 土塊となって 枯れていく それを知るのは僅か


 心を痛めて 嘆くも 次は自分かと 恐れて 触れることもなく 


 ただ嘆きと畏れ それだけが静かに この国を流れていく


 ああ痛みの根から恨みの華が開花する。 


 願うことはただそれだけ。 この場所が荒れ果ててしまう前に。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る