怒り焦り嘲りを詩想に変えて

母は締め上げる首 酸欠の苦しみ 眼球に血走る 線


父は夜の闇、 ヘッドライトに照らされる満月のような瞳孔と掘られる墓穴



怒り焦り嘲りを飲み込んで

怒り焦り嘲りは絶え間なく

怒り焦り嘲りにがんじがらめ


笑いあうために嘘をつき、笑われるたびに嘘をつくことに慣れる自身よ



痛む身体と腐る心に軋みが亀裂となってギリリと歯噛みする


抑えることもあがなえることも出来ずガジガジの自我に噛み込む


外面、内面に着いた無数の傷を数えるのは止めた


ベタベタと貼り付いた恥は拭えず浸透してシミとなった。


それらを抱え



怒り焦り嘲りを飲み込んで

怒り焦り嘲りは絶え間なく

怒り焦り嘲りにがんじがらめ


それでも怒り焦り嘲りが私自身


怒り焦り嘲りで作られた


焦り嘲り嘲りを原料に私は言葉を紡ぐ。


怒りが情熱を燃やし、焦りが止まりそうになる心を動かし、嘲りこそが心の杯に穴を開けて満足することを妨げるのだ。


それこそがどうしようもない自分なのだから


他の誰にも渡さない。


怒りも焦りも嘲りも。


全て自分のものだ。


それらが無い私など、河原の岩に潜む山椒魚と同義。


つまり想像は出来ても理解することなど、到底不可能なのだから。



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