学校 〜陽菜side〜
パパをギュッと抱きしめると、何故だか心がポカポカしてくる。私は1人じゃないんだと安心できる。そんなことを確認したくて、いつもいつも抱きついてしまう。
パパからしたら鬱陶しいと思ってるかもしれないけど、それでも顔に出すことなく私を受け入れてくれる。それがまた嬉しくて、ついつい甘えてしまう。
それにしても、パパの寝顔可愛いなぁ〜。いや、イケメンの方がしっくりくるかな。
「パパ、おやすみなさい」
小さく呟いてから、私も目を閉じる。勿論、抱き着いたままで、だよ。すぐ近くにパパがいると思うと、安心してすぐ眠る事ができるんだよね。
目を覚ますといつも通りの朝だった。
「パパ、おはよ〜」
「おはよ」
「朝ご飯作ってきますね!」
「おう」
朝ご飯を作り終えてから、顔と髪を洗う。よく女子だと朝シャンする人が多いって弥生ちゃんも言ってたけど、どう考えてもめんどくさいよね? 別に身体から臭い匂いが出てるわけでもないんだし、そんなに気にする必要ないと思うんだけど、私がおかしいのかな?
学校で弥生ちゃんに聞いてみよーっと。
朝ご飯を食べ、制服に着替え学校に向かう。
学校に着き、教室の扉を開けると弥生ちゃんが私の所にきてくれる。
「陽菜ちゃんおはよ〜!」
「弥生ちゃんおはよ〜!」
「ねね、昨日唐突にギャルっぽいメイクしてみたいって思って、やって見たんだ〜」
「そ、そうなんだ。それにしても唐突すぎじゃない?」
「そうなんだよね。なんか、頭に浮かんできたって感じなんだよね。こんな感じでメイクしなさいっていうのがさ」
「それでどうだったの?」
「失敗も失敗。鏡見たら、ギャルっぽいっていうか、オネェっぽくなったよ」
テヘヘと笑う弥生ちゃんは、とても可愛い。女の私から見ても可愛いっていうのがわかるくらい。よく、女の子同士で言う可愛いはそうでもないって言うのを男子が言っていたが、弥生ちゃんの場合、ほんとーに可愛い。はぁ、私も弥生ちゃんみたいに可愛くなれればなぁ。
「弥生ちゃんはなにしてても可愛いから大丈夫だよ!」
「そんな事ないって。昨日のはほんとにオネェっぽくなったんだよ! これ!」
そう言って、弥生ちゃんは携帯を見せてくれる。
昨日自撮りしたのだろう、可愛く撮れる角度から撮っていた。だけど、どんだけ頑張ってもオネェにしか見えなかったため、思わず笑ってしまう。
「ぷっ、あっはは! なにこれ?! これほんとに弥生ちゃんなの?」
「私だよ! オネェに見えるでしょ! 全然可愛くないでしょ?!」
「流石にコレは可愛くないかな。コレ、どう見てもギャルメイクじゃないと思うよ?」
「だよね〜、どこをどう間違えたのかわかんないんだよね〜」
「そ、そうなんだ。あっ、その写真貰ってもいいかな?」
「何かに使うの?」
「うん! パパに見せようかなって」
私がそう言うと、弥生ちゃんはアタフタしはじめ、顔を赤くしていた。
「絶対にダメ! 恥ずかしすぎるもん」
「残念。面白かったのに!」
弥生ちゃんと話しているとチャイムが鳴ったため、席に戻る。朝のHRが始まり、今日の連絡事項を言われた。と言っても、特に大事な話ではなかったため、聞き流してたんだけどね!
朝のHRが終わり、授業の準備をする。移動教室の為、早めに教科書などを持ち、移動を始める。遅れるとめんどくさいしね!
午前中の授業が終わり、今は昼休みになった。
「陽菜ちゃん! 一緒に食べよ?」
いつものように弥生ちゃんが誘ってくれる。
「うん! 食べよっか!」
「そういえばさ。陽菜ちゃん、バイト始めるんだって?」
「うん! そうだよ!」
「何か欲しいものでもあるの?」
「そろそろ父の日だから、何かプレゼントしたいなって思って」
「なるほどね〜。でも、バイトしなくても良くないの? お小遣いあるんでしょ?」
「やっぱりさ、自分で働いて得たお金でプレゼントしたいじゃん! 」
「陽菜ちゃん、めちゃくちゃいい子だね! 私、父の日にプレゼントした事ないよ」
「私も今回が初めてだよ?」
「えっ? そうなの?」
弥生ちゃんはすごい驚いた顔をしていた。
大方、毎年あげていると勘違いしていたのだろうが、流石に毎年はあげないよ!
「うん! 私を引き取ってくれたパパにはさ、感謝しかないからさ。全然恩返しになってないだろうけど、せめて、父の日にプレゼントしたいなって思って」
「そっかぁ〜。確かに秋本さんがいなければ、今頃陽菜ちゃんはこんな楽しそうにしてなかったかもしれないって考えると、秋本さんには感謝しかないか!」
「うん! だからバイト始めるんだぁ〜」
「でも、今から始めても父の日まで間に合わないんじゃない?」
うん? 今弥生ちゃんの口からとんでもないことが聞こえた気がするが、私の勘違いだよね? 流石に間に合わないとかっていうオチはいらないからね? もう一度確認しとこ。
「えっ? なんて言ったの? もう一度言ってくんない?」
「だから、今からバイト始めても父の日までに間に合わないんじゃない?」
聞き間違いじゃなかったかぁ〜。
えっ、これからどうしよう。完全に予想外だ。給料が入らないのなら、プレゼント買うこともできないし。
「や、弥生ちゃん? それ、ほんと?」
「ほんとほんと。給料って大体月の終わり頃に入るんじゃなかったっけ?」
「なら、今から始めれば今月の分は貰えるってこと?」
「バイト始めた時の月は、給料貰えないよ? 来月の終わりに、始めた時の月と、次の月の給料が一緒になって入るって感じ」
「な、なるほどね〜。なら、どう考えても間に合わないじゃん! どうしよう」
「別に父の日に合わせなくてもいいじゃん。気持ちがこもってればいつプレゼントしてもいいと思うけど」
「それじゃ、ダメなの! やっぱり父の日にプレゼントしたいの!」
「そーゆーことなら日勤のバイト探したら? 土・日とか働いたらその日に給料貰えるやつ」
「そうしよっかな。ありがとね、弥生ちゃん!」
「どういたしまして!」
そう言って、弥生ちゃんは弁当箱を片付け始めた。
少しして昼休みの終わりを告げるチャイムがなり、午後の授業になったのだが、私はこれからの事を考えるとあまり授業に集中できないのであった。
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