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「鳥だって牛だって豚だって揚げると美味しいでしょう? バナナやアイスだって美味しいのよ、知ってる?」
「あー、バナナは美味しいっていいますよね」
食べたことないけど。
「アイスもね、サッと揚げたら溶けないのよ。それにチョコソースとかかけたら絶品なの」
うふふ、と微笑む薫さん。俺は惣菜屋につまみを買いに来ただけなんだけど?
「それにほら、揚げ饅頭とかもあるでしょ? うちでも作ってみたけどこれがイケるのよねぇ。大福とかも揚げると美味しいのよ。あ、でも中にあんこじゃなくてクリームが入っているタイプのものは注意が必要なの。揚げた時に大福が破けると大変だからね。でも揚げたてを割った時にとろーんと出てくるのは最高に美味しいの!」
「へ、へぇ」
「揚げ物って最高の調理法なの! お肉もお野菜もお菓子も揚げたら美味しいし、それに紅葉の天ぷらとかもあるしょ? 葉っぱだって揚げれば美味しく食べられるのよ」
「そ、そうですね」
「うん! だからね、桜餅も揚げちゃった」
や。
“揚げちゃった”じゃねぇよ、“揚げちゃった”じゃぁ! 揚げ饅頭とか紅葉の天ぷらとかあるのは知っているけど、それは商品化されている奴だから! 非商品化は危ないから! いろいろと! 俺も好奇心に任せてそういうの作ってバイトの斉藤君を何とも言えない表情にさせるときあるから!
「あ、丁子麩の辛し和え一つ「美味しいから食べて行って」
「だ、いえいえ、そんな」
「お代はいらないのよ。私が食べて欲しいだけだから」
そう言って差し出して来たのは、俵型の天ぷらみたいなやつ。わ~い、道明寺粉の桜餅だぁ~ってバカ! そんな冒険したくないっ。
「ねっねっ、大丈夫、一口だけでいいから、絶対美味しいから。うちの人一口も食べてくれないからスカイさんだけでも食べて」
旦那も食わねぇんじゃねぇか! なっなんでそれを俺にっ。ちょっ腕掴む力つよっ。
「はい、ねっ美味しいから!」
「は、はいぃ」
結局迫力に負けてそれを受け取ってしまう。いや、受け取る以外のコマンドが見つからかったからだっ!
「い、いただきま・・・あ、意外といける」
「でしょーっ!」
さく、もち、とろ・・・何これ、新食感・・・!
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