愛とは重いものなのか
カゲトモ
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「スカイさんは今年、お花見行きました?」
「はい、友達と。今年はちょうど満開の時に行けて良かったです。カオリさんはどうでした?」
「へぇ、羨ましいな。私は今年行けなかったから」
「え、そうなんですか。それは残念ですね」
「そう、そうなのよ。染井吉野は綺麗に散っちゃってもう全部葉っぱになっちゃったし」
うんうん。あんなに綺麗だった桜並木もすっかりと新緑のアーチになってしまったし。
「あ、でもお寺の所にある、八重桜はまだ綺麗に咲いていましたよ」
さっき横切った時にまだ綺麗に沢山の花を付けていたから。柔らかな花びらが何枚も重なっていてふわふわと丸くて可愛らしかった。
「えぇ、八重桜はまだ綺麗に咲いていたわね」
「カオリさんも見ました?」
「えぇ、あんまり可愛かったからつい時間を忘れて見ちゃってた。本当に綺麗だったわね」
「はい、染井吉野とは違う美しさがありますよね、華やかだし」
「うんうん、それに八重桜って桜餅に似ていて美味しそうよね」
「えぇ、え?」
さくら、もち? 確かに八重桜って葉っぱと一緒に花が咲くから桜餅に見えない事もない・・・? 考えたことなかったけど。
「木の枝に沢山の桜餅が生っているって考えるとなんだか面白いわよね」
「ふふ、そうですね。桜餅の生る木なんてあったら素敵なのに」
「そうよねぇ、そんなのがあったら絶対に庭に植えるもの」
そういうのがあるなら、俺としてはビールの生る木とかがいい。もっとゲスくていいなら金の生る木、とか。出来れば五百円玉とか生るやつ。
「私、食べ物は何でも好きなタイプなんだけど、桜餅も凄く好きなのよね。京谷和菓子店にも凄くお世話になっているし」
うん、カオリさんは美味しいものを美味しく食べてくれそうだもんね。お家が惣菜屋ってところもあるかもしれないけど。エプロンに描かれたキャラクターに皺ひとつないもん。
「でね、私、美味しいものをつい、揚げちゃう癖があるのよね」
あれ? なんか嫌な予感?
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