あなたはもういらない


バスに乗っていた。

普段乗るようなバスでは無く修学旅行の時に乗るようなシャトルバスだった。席の並びは1列に6席左右に3:3で分かれていながら席と席の間隔は普通のバス位の感覚。深夜便なのか電灯が消え真っ暗な不思議なバスだった

私が通路側の席に座って、真ん中に寒い時期なのに半袖の男の成人なのか子供なのか分からない位の年齢の人、窓側の席にジャラジャラと色々なものを付けた男がいた。窓側の男は真っ暗なバスの中で携帯の明るさを最高にし、Bluetooth仕様のイヤホンから傍から聞こえた私は(こいつ耳が悪いのか?)程の音が漏れ出す大きさで音楽を流していた。発車してしばらくなのか、気がついたらなのか定かでは無いが真ん中に座る大人か子供か分からない彼が急に立ち上がり窓側の席に座る男の胸ぐらを掴み言った「お前はいらないやつか?次は無いぞ」

注意するでも無い、いきなり怒り出して「次は無い」と言われ窓側の男は何を言い返すのかと見ていたら、言い返すどころか弱々しく「はい」と言い酷く脅えた様子で席に座り直す。何がそこまで怖かったのか分からない私は真ん中に座る男の顔が怖かったのか確認した。

まるでとか、の様だとかそんなもの使わず断言できた。人の形をしてはいるが真ん中に座る男は人間では無い。目玉が丸々真っ黒だった。白茶色、黒色と分けること無くただ一色の黒。


少ししてサービスエリアでトイレ休憩のためバスは泊まり乗客全員が降りた。発車するギリギリに窓際の男か乗り込みドカッと座り込む。

次の瞬間窓側の男の後ろの席から「次は無いと言った」と真ん中に座る男と同じ目が見えた。そこから先は男が食われたのか、捨てられたのか覚えてないため書けないが、どうなったのか

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