あの娘のためのミッションさ

今年1番の猛暑、8月の時のことである。夜中に暑くて目が覚めた俺は扇風機のスイッチを中に設定し、汗を吸ったタンクトップを脱ぎ上半身裸になった。喉乾いたなぁ~なんて思ったから冷蔵庫の中にある麦茶をコップに入れず麦茶の入っている容器から口を付けずにガバガバと飲み干す。

(やべ、シンクの中に水につけとかないと母ちゃんに怒られる)

と思った俺はそそくさとシンクの中に入れて水につけておく。

汗も引き少し涼しくなってきて頭も冴えてきた時ふと変な音が聞こえる。例えるならそれはテレビの放送休止の時に流れる砂嵐の様な音かラジオでチャンネルを合わせている途中に流れる砂嵐の音、そして時折聞こえる無機質な音?いや声のようなもの。どこから聞こえてくるのか分からないが何となく玄関を出てみる。先程より音が鮮明に聞こえてくる。

「ミッション、避け続けろ。報酬は翌日の思わぬ幸運ナリ」

…は?いや、えっとなにかゲームが始まったのか?それともどこかからテレビの音でも流れているのか?

今から思えばそんなことを考えるよりも気にせず寝ていればよかったのだ。また声改めアナウンスが聞こえた。

「これよ りミッショ ンを始め る。サン カシャ制限は 1人。サンカシャは 夜野 雄也。ほうしゅ うは、さきほ どのアナ ウンスの通りで ある。君はこれか ら唯ひたす ら上下にバウンドするテ ニスボー ル大の大きさの玉を避け続 けろ」

所々間が開いてはいるがルールの説明がされた。しかもプレイするのは俺らしい。テニスボール大の玉を避けろ?どういう事だ?夢か?まだ夢の続きか?疑問は湧くがどうやらこれから行われるのは夢らしい。玄関から顔を出して音の発信源が何処かなのか確認していたはずの俺はいつの間にか横幅が3m近く縦幅2m近くのトンネルの中に居る。まぁ、夢なのだから楽しもうじゃないか…アナウンス通りボールは上下にバウンドしてこちらに近づいてくる。一球だけてはなく、まとめて五球ぐらいがカーテン状に広がって。タイミングがバラバラで近づいてくるものだから1つが天井に跳ね上がっている時に通り抜ける。すると球は消え目の前にはミッションクリアおめでとうという謎の看板が出ている。床に目をやると「HARDモードに挑戦する事ができます。HARDモードをクリアすると報酬がNORMALモードの報酬の上位互換となります。挑戦しなければ朝になり報酬が現実世界に反映されます。いかがしますか?」

疲れた訳では無いが何となく嫌な予感がしたのでHARDモードへの挑戦に「NO」と返信する。するとまたアナウンスが聞こえる

「おめでとうございます。夜野雄也様に報酬が与えられます。それでは良い一日を」

目が覚めるとやはり布団の上。汗もぐっしょりかいてる。自分で寝ぼけていたんだと思いリビングの方へと向かう。母ちゃんが料理を作っているのかいい匂いとザクザクと包丁を使ってネギを切る音がする。リビングからキッチンに向かって話しかける。

「おはよう、今日の朝飯何ー?」

我ながら間抜けな声だと思う。いつもなら母ちゃんは「魚と味噌汁に白米だよ。味噌汁はあんたの好きなナメコだから早く歯磨いて顔洗ってきな」と言うふうな返事が返されるのだが、今日は

「ホッケの干物となめこ汁にご飯だよ。初めて作るからあんまりうまく出来なかったけど…ごめんね雄也」

?母ちゃんにしては…あ、そうだ。今日から母ちゃんと父ちゃんは温泉旅行に行ってるんだ。んで、今キッチンにの方にいるのは隣の家に住んでる真理だ。ああ、思い出してきた。母ちゃん達がどこかに旅行しに行くとかで俺は1人家に残りたいと言い張り母ちゃんがいない間母ちゃんが隣のおばあちゃんに頼んで真理にご飯作って貰ってるんだ。

「あ、真理ごめん。いつもの癖でつい…」

実はも何も俺は真理のことが大好きでもう何年も前に告白して両親公認の仲なのである。


平和な朝を迎え学校に登校している時。真理が何かの拍子に転けて咄嗟に助けようとしたがマンガのようにうまくはいかず俺が下敷きになる形で真理は怪我をしないですんだ。ちなみに俺は真理の胸の感触が背中で味わえて嬉しかった。まぁ、そんな話は置いておき。


また夜がやってくる。今度はどんなミッションがやってくるのかと思っていると…まさに急展開。真理が攫われたりミッションが過酷なものとなったり。まるで所々テレビの早送りを見ているようだった。そして俺は無事マリを助け出して夏祭りを一緒に見に行った。

所で現実世界に引き戻された。実に腹立たしい。もう少し寝ていたかったが現実世界で学校が始まってしまう。今日の夢はここで終わり

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