夢物語
ヌンティ
第1夢
未だに覚えている怖い夢。
祖父母の家はアパートなのだが夢の中では1件の古家だった。
その時の季節は夏僕の姿は多分小学校四五年生だった。父母は何か用事があったからなのか祖父母の家には僕一人で止まった。祖父は厳しそうな顔つきで僕は母から
「おじいちゃんは厳しいからね。ちゃんとお行儀よくしてるんだよ」
と教えて貰った記憶がある。対して祖母の方はと言うと
「おばあちゃんはいつ見てもニコニコしてるいからね。もし夜怖くて眠れなかったらおばあちゃんの所に行って一緒に寝てもらい無いさい」
となかなか1人で眠ることが出来なかった僕に教えてくれた。
昼頃に祖父母の家に付き祖父と一緒にテレビを見て祖父にこの馬の走りはうんたらかんたらとよく分からない説明をしてきた。呆れた祖母はスイカを切って来てくれた。
シャリシャリと塩をかけたスイカにかぶりつく。眠くなったからか祖母の膝の上に頭を乗せて暑いなかウダーッとして時間がどんどんと経っていく。
晩ご飯は僕の好きな肉じゃがで少し味が薄かったのが嬉しい。祖父と一緒に風呂屋へ行きイチゴ牛乳を買ってもらい白い髭を作り扇風機に温まった体を冷ます。
家に帰ると祖父母と僕の3人でテレビを囲ってみていた。あの時は何を見ていたんだったろうか。ドラマだっただろうか…夜も遅くなり祖父母は別々の部屋に、僕は大広間に一人で寝ることとなった。明るい電気を消すが豆電球だけをつけておく。薄い掛け布団をお腹にかけ目をつぶって寝ようとする。
その時は珍しく1人でスーッと眠ることが出来た。
…怖かったのはそのあとだった。夏だったからなのかその日が今年1番の猛暑で目が覚めてしまった。起きると汗をぐっしょりとかき着ている服はまるでプールに服のままで泳いだようだった。
(喉が渇いた)
思った僕は冷蔵庫のある台所へ行き冷蔵庫からウーロン茶を引っ張り出しコップを注ぎ1杯グイッと飲み干す。
飲み干したからなのか更に尿意が…トイレへと駆け込み用を足してまた寝ようとする。
寝られない…一向に眠ることが出来る気がしない。一人で寝られない癖がまた出てきてしまったのだろうか、考えても仕方ないので枕と布団をもって祖母の部屋に行く。夜中にいきなり起こしても祖母や嫌な顔をひとつせず一緒に寝てくれた。
寝た瞬間祖母の身体はなにかに取りつかれたかのようにガタンガタン、バタンバタンと暴れだした。
そんな所で現実の作者である僕は目が覚めた。
初めて見て怖かったのはやはり祖母という人の隣に添い寝した瞬間がたんバタンと音を立てて暴れだしたことでも有るのだが、次に怖かったのは出てきた人物、場所が全て僕の知らないものだったこと。
最初にも説明した通り祖父母の家はアパートである。そして夢の中で見た祖父母の顔を思い出そうとするとグシャグシャと鉛筆で雑な黒塗りなのである。
最も怖かったと言えるのは鏡で見た自分の顔が幼き頃の自分ではなくただ肌色しか晒されていないのである。目も口も鼻も無ければ髪もしわも耳も。
服装も思い出せなかったのである。
正直怖くて叫びそうになった、涙は普通に流れた
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