第21話 この文章がわからない人は知能がゴブリン又はなろう主人公並みです

「さて。先ほどアマゾネスがニードルカンガルーやヒフキドリを仕留めた男性を婿に迎えるというお話を致しましたが」


「ああ。したな」


「ゴブリンのような狩猟採集民族は人間のような農耕民族には絶対に勝てないという理由があります」


「なんで?狩猟民族は全員が武器を持っているんだ。だから強いに決まっているだろう」


「まずニードルカンガルーですがこれは体重25キログラム。ヒフキドリは50キログラム。人間10歳児30キログラム。牛、三年で八百キロ。豚、半年で百二十キロ。ニワトリ、二ヶ月で三キロ」


「なんで牛や豚と人間が一緒になってるんだ?」


「仮に人間を食べるモンスターの立場に立って考えた場合です。一エーカー、四〇〇〇平方メートルのジャングルを捜索して、ニードルカンガル又はヒフキドリ一体を発見できると考えます」


「四千・・・?」


「闘技場があるじゃないですが。あれがだいたい四〇〇〇平方メートルです」


「凄く広くないかそれ?」


「無事に獲物を発見できたとしても、ニードルカンガルーやヒフキドリは凄く強いので返り討ちに合う危険も多いのですが。まぁそういう獲物をしとめられる男性でしたら喜んでアマゾネス達もお嫁さんになってくれますよ。どうです?ふるちんさんも?」


「いや。どうですって言われても俺そんなに強くないから」


「この時点で狩猟オンリーの種族が積んでる事は御理解できたと思います。では次に人間を食べる種族が人間の村を襲ったとします」


「ジャングルと違って探す手間は省けるし、沢山の餌は手に入るな」


「やっぱり積みます。人間の村を滅ぼすと畑を耕す人が絶滅する。つまりそれ以上の食料が手に入らなくなるのです」


「なに?じゃあゴブリンやオークは人間を滅ぼしてはいけないのか?」


「するのは自由です。一時的に大量の食料が手に入るでしょう。しかしゴブリンの住むようなジメジメした穴倉に長期間にわたって腐らない食べ物がこの世界に存在するとは思えません」


「つまりどういうことなんだ?」


「食料生産者。つまり農民が逃走してしまえばそれで終わりです」


「自分の家を捨てて逃げるのか?」


「国王、騎士には自分の領土の村の領民を守る義務があります。それができなければ村の住人達は国王や騎士に税金を収める必要はないんですよ。だって『ゴブリンにすら勝てない無能な』騎士なんですから。

ゴブリン側にはそれ以上食料の入手が不可能な廃村のみが残ります。これがもう少し知能が高い種族になると話は別です」


「知能の高い種族?」


「オーク族のようにそこそこ知能の高い種族になってくると男性は基本的に皆殺しですが女性は自分の妻にする為かなり丁寧に。といってもオーク流ですが、扱います。また将来妻にする為に女の子もわりと扱いはいいようですよね。さらに歴史に名を残すような国家では敵対国家を戦争で敗北させた後、敗者を生かしてうえで政治的に組み込み、労働力として活用する。あるいは税金や物品を収めさせるという事をします」


「それって凄い事なのか?」


「それができるのが魔王と呼ばれる存在であったり、あるいは帝国と呼ばれるものですが、ゴブリンにはそれができません」


「なんで?」


 俺が尋ねると、ももかんはこう答えた。


「算数のできるゴブリンはいませんので」

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