第8話 魔王マイルズの復活2
一週間後。
「邪神像が届きました」
「ありがとうございます画麻さん。予定より三日も早い納品でしたね」
「いえ。新人の鈴木さんが予想以上にがんばってくださったので。実に見事な邪神像が完成いたしました」
一体何者なんだ。新人の鈴木さんって。
それはともかく魔王城地下の神殿には邪神像が設置された。どことなく画麻に似たデザインのマリア像は速やかに撤去され、代わりに中国製フィギュアのようなおどろおぞましい武器な表情の女性の像になった。
これが邪神像らしい。
「こちらに受領のサインをお願いします」
「・・・確かに。受領いたしました」
「それでは私は中世風ドレスを着た女性の作成作業に戻ります」
「衣装の仕立てですか?」
「ちょっと多めに発注を受けてるんですよ。男性の服と比べてデザインのバリエーションが取れて画面も華やかな印象も与えられますから。もちろん要所要所で美形の男性を適度に投入する予定です」
「そうですか。そちらもお仕事がんばってください」
「はい。それでは」
画麻はどこでもドアーを通り、村山アニメーションに戻って行った。
「それでトヨヒサルス参謀。魔王マイルズ様はどのようにすれば復活できるのですか?」
「マイルズ様は人間の生命エネルギーがあれば復活するはずだ。だからたくさん人間共をさらってきて、その血肉を生贄として祭壇に捧げればマイルズ様は夜明けを待たずとも蘇るであろう」
「あ、それ却下です」
即断するももかん。
「なんだと貴様。たかが人間の分際で」
「実は私は宇宙人なのです」
「何!?宇宙人だと?!!」
「そして異世界人なのです」
「何?!異世界人だと?!」
「さらに超能力者なのです」
「何?!超能力だと?!」
「最後に、これが最も重要な事なのですが、私は未来人なのです」
「何?!未来人だと?!!」
「つまりどういうことなんだ?!!!」
「トヨヒサルス参謀はこの旧魔王城に残された兵力スケルトン97体を使って近くの人間の街を襲撃します」
*
あくましんかん「トヨヒサルスさま。ごしじを。
→まおうマイルズさまのふっかつ
あくましんかん「エネルギーがたりません。にんげんどもをかきあつめるひつようがあるようです。
→こうげき>人間の街
あくましんかん「にんげんどものまちをこうげきするのですね。わかりました。
いま、スケルトンへいのかずは 97 です。どれだけつかいますか?
>97
あくましんかん「せいこうです。8たいのスケルトンをしょうひし、24のにんげんをてにいれました。
あくましんかん「たいへんです!どうやらにんげんどもにまおうじょうのいちがばれてしまったようです!!
にんげんどもがせめてまいりました!!
あくましんかん「ぼうえいのためのスケルトンがいません。まおうぐんはめつぼうです。
→
GAME OVER
*
「となるのです」
「うおおおおお!!!まるでこれから起こる事をすべて知っているかのような発言だっ!!!」
「間違いない!!このももかん殿は我らを救うべく、マイルズ様が未来より送り込んだ救世主!!!」
「いや、未来っつーかファミコン時代のシュミレーションゲーム風だったろ今のは」
「というわけで人間の街を攻撃する以外の方法で魔王マイルズを復活させるわけなのですが」
ももかんはスマフォを取り出し、時間を確認した。
「あ。そろそろいいようですね。たぶん何もしなくても魔王マイルズは復活するはずです」
「なんだと?!しかしマイルズ様は人間共のエネルギーがなければ・・・」
「悪魔神官さんはこのまま城内で雑用係をお願いします。トヨヒサルスさんはスケルトン兵を率いて遠征に出てください。そして私は」
ももかんは俺の頭を軽くつついた。意識が遠くなってくる。
「う、ぐ・・・・」
「ちょっとふるちんさんの記憶を弄りました。だいたい準備が整ったので彼を魔王マイルズが復活した後の世界に私達が魔王復活の準備をしている記憶を消して送ります。余計な情報ですので」
「うむ。貴様も立派な魔王軍の協力者という事だな。実に良い事だ」
「あ、彼の着ている服脱がすの手伝ってください。裸の状態で送り込みますので」
「なんという鬼畜。人の心などない。間違いなく貴公は魔王軍の協力者」
*
「五郎さーんお借りしていた着替え選択して持ってきましたー」
「あー。ももかんちゃんあんがとー。そこおいといてー」
「じゃ、準備できたんでそろそろ私第一話冒頭に行きますね」
「いってらーしゃい」
「行ってしゃい」
*
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます