愚者とふるちん

虹色水晶

第1話 なまえをいれてください→「ふるちんでいいか」ハナホジー

「おお ふるちん よ!よくぞ我が前に参った!!」


 俺の眼の前にはこの国の国王がいた。

 勘違いしないで貰っては困る。俺には安紅鷹飛(アンクタカト)という立派な名前がある。決してふるちんなどという小学生がRPGをする時に主人公につける名前ではない。

 ではなぜ俺がふるちんと呼ばれているかと言えば。

 俺がふるちんだからだ。

 俺はふるちんで、椅子に縛られ、王の玉座から少し離れた場所で座らされていた。


「旅立つ其方のために、余は三つの宝を用意した。受け取るがよい!」


 俺の前には宝箱が確かに三つ。置かれていた。


「まず一つ目。其方を椅子に縛り付けている鎖の鍵。これがあれがあれば其方は自由に旅ができるようになるぞ!」


「さぁふるちん様!宝箱の中身を受け取ってください!」


 王の付き人の魔法使いがそう言った。


「二つ目は180枚の金貨じゃ!これを使い、街で旅の支度を整えるがよかろう!」


「街のお店で買い物をするのです。ふるちん様!」


「お店の人にはカウンター越しに話しかければよいのですよ。ふるちん様!!」


「王都の廻りには危険な魔物は少ないでしょう。ですが油断は禁物です。念の為に武器や防具を買いそろえていくといいでしょう。その為には武器や防具のお店に行かねばなりません!!」


「当然その恰好のままです。ふるちん様!!人通りの多い商店街をその姿で歩くのです!!」


「そして最後の宝箱じゃ」


 王様は三つ目の宝箱を開けた。


「鞭とロウソクじゃ。ふるちんよ。これがあれば椅子に縛り付けられたまま、其方はこの世の天国へ行くことができるぞ!!」


「一つ目と二つ目だけ頂きます。三つ目はいらん」


 俺は国王だけでなく、魔法使いや護衛の兵士。そして廊下にいるビキニアーマーの女戦士にまではっきり聞こえるように言ってやった。王様は鞭とロウソクを落っことした。そして泣きながら俺の両肩を掴んだ。そして首を振りながら嘆き、悲しむ。


「なんと、なんということだ・・・おお、ふるちんよ。国王である儂は立場上、ち〇ちんを大きくするだけの能無し目っ!!などと女性に罵声されながら叱咤されることなど叶わぬ願いなどゆうのに・・・」


「いいから鍵寄越せ」


 俺がこの状況になった事には、少々説明を要さねばならないだろう。

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