二つの金メダル
@kururiexam
上
自室、四畳間にPCと布団だけがある殺風景な部屋。時計の針はてっぺんから少し傾き朝の4時。昨日の学校での卒業式の後、クラス会で飲みに飲んだ俺は布団でいびきをかきながら熟睡していた。何も邪魔がなければおそらく昼まで目覚めなかったであろう、最高な睡眠だった。しかし唐突なマリンバの音にたたき起こされることになる。
「…目覚ましか。」
スマホの目覚ましアプリが軽快なマリンバの音色を鳴らしている。いつ設定したか分からないが、おそらく酔った勢いで自分で設定したのだ。過去の自分を恨む。最低の目覚めを迎えながらもマリンバのアラームを止めようとするとSNSアプリに通知が来ていることに気づいた。日付は昨日だ。
「同窓会?」
蜂栄小同窓会というグループ名でグループ参加の招待が来ていた。すでに60名ほどが参加しておりそこには友人の名前もあった。
「岩井も来るのか、なら俺も参加しようかな。」
俺はそんなに人付き合いが上手い方ではない。いつも不愛想で口数も少なかったから小学校でも中学校でも友人は片手で足りる程度しかいなかった。だから同窓会に誘われたとしても行くつもりはなかった。疎外感を感じる同窓会ほど行きたくないものはない。しかし岩井が参加するなら話は別だ。岩井は数少ない友人の一人で小学生の頃よく一緒に遊んでいた。岩井と久しぶりに会って話が出来るなら十分参加する理由になる。
「そういえば。」
一緒にタイムカプセルを埋めていたことも思い出す。何を埋めたか忘れてしまったが埋めたのは確かだ。それも一緒に確かめたい。同窓会へのモチベーションが高まり、酸化することにした俺は出席に○をつける。そして、懐かしの友人に会えることを期待しながら再び布団に潜り込んだ。
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