春の宵、独特の空気を浴びている気持ちになって、とてもとても良かったです。
拝読している今は夏ですが、この雰囲気、すっと引き込まれて一瞬季節を忘れました。
作品を拝読すると、いつも小物や風物づかいの巧みさに感心します。
今回中盤かなりドキドキしたのですが、最後になんとも言えない愛嬌があって、「あ、戻ってきたのか」みたいな安堵感も一緒に感じられました。
噛むんだ、そこで笑。
私もデニッシュが食べたくなりましたよ。
作者からの返信
いつの間にか、日が長くなったなぁ、と感じるようになって、あ、そういえばもう春だな、と続けて思うことが春先に多いです。そしてその頃になると、夕暮れの薄闇にぼうっと灯るような、ハクモクレンの大きな白い花を見ることがあって。そんな体験からこの物語が生まれました。幻想譚というか怪奇譚というか、そんな物語を目指したのですが、コミカルな感じになってしまいました。狸さんには、また登場してもらいます。これを書いていた時、ちょうど玉子とベーコンのデニッシュを食べていたものですから(笑)。作品世界に入り込んでいただけたなら、とてもうれしいです。お読みいただき、ありがとうございました。
春の宵は少しずつ、夜がにじむように始まる。からはじまって、リコちゃんの心理描写が素晴らしいですね。
毎回、このように書くって素晴らしいことに思えます。
作者からの返信
最初はもっと不思議を前面に出した幻想譚にするつもりでしたが、書いてるうちに少々コミカルなトーンになってしまいました。思いついたお話を、どんなトーンで書けるかということは、ある程度書いてみないと分かりませんね。春の夕暮れに家にいると、いつの間にか部屋が暗くなっている、という経験が在宅勤務中によくあったもので。お読みいただき、ありがとうございました。
こんにちは。今回も素晴らしい物語世界にお招き頂いた気持ちです。
所々に挟まるリコちゃんの独白と、三人称視点の文がリズム良くてとても心地良く読み進めました。
曇天を「蓋をされてるみたい」と感じたり、女性に何と話しかけるべきか悩んだり、等身大の女の子が不思議の入り混じる世界を生き生きと歩いているようで、どの描写も味わい深いです。石敢當が出てきた時は「舞台は沖縄なのかな」と思いましたが、関西弁のたぬきさんが出てきて、きっと何処でもない何処かの不思議なご近所なんだなぁと思ったりしました。
私もハンミョウには気を付けて過ごします。素敵な物語をありがとうございました!もし出来れば、また彼らに会いたいです!
作者からの返信
こんばんは。そう言っていただけてよかった。視点人物が女の子なので、ちょっと「無理してる感」がなかったか、と思っていたもので(笑)。石敢當は主に沖縄ですが、沖縄以外でも普通にある……と思っていて登場させたのですが、今調べてみると(今?)、沖縄以外にもあるけれど、やっぱり少ない、みたいです。このお話は、その数少ない例外的な場所ということで。ハンミョウは、いかにも肉食といった見た目の強力なアゴを持っています。人を誘うような動きで惑わしてきますので、道々お気をつけください。私も、またこんなお話が書ければ、と思っているのですが……。お読みいただき、ありがとうございました。
お邪魔します。
春の宵の始まりって、こんな感じだわと最初から引き込まれてしまいました。異界がすぐ隣にあるのが普通、人では無いものには注意という主人公の生活がすんなり入ってきて、時々クスッと笑ってしまうのが楽しかったです。そして、白木蓮のくだりに、わあっ!素敵!と思いました。
面白かったです!ありがとうございました。
作者からの返信
春の宵を感じていただけてよかったです。その頃に公開するつもりが、書き上がらずこの時期になってしまって、季節感がずれてしまったものですから。こんな環境で普通に暮らしている。そんな主人公の日常のひとコマをそのまま描いたお話でした。白木蓮のくだりのところは、いろいろと試行錯誤してひねり出した一文なので、そう言っていただけてとてもうれしいです。お読みいただき、ありがとうございました。
いつもの@sakamonoさんよりぐっと可愛い女の子の語り♪ でも、素直な性格も健康そうな食欲もほんと全部可愛くって、その上ダメを畳みかけてる所とかテンポもリズムも可愛らしいんだもの。この子はまた読みたいなあ。それにしてもこんなに可愛いだなんて、ちょっとズルい笑。
作者からの返信
三人称で書いていますが、視点人物が女の子なので少々苦労しました。「こんなふうに書けば、読んだ人に可愛いと思ってもらえるだろう」などといった、いやらしい計算が入らないように、と(笑)。なので、コメントに何度も「可愛い」の言葉が出てきて、とてもうれしい気持ちです。こんなお話をまた書けたらいいなと思いますが……書けるかな。お読みいただき、ありがとうございました。
人外も気楽に行き交う豊かな自然 笑 の中で、なんだか悠々自適の生活を送ってるような主人公。いろいろと慣れているようで、うっかり者っぽいというところが、この話を話ならしめているキモですね。
日常の風景からしてすでに異界が映り込んでいて、油断すると沈丁花がことさらに毒を漂わせてくる、なんとも混沌とした舞台設定です。それでいて、全然暗い印象がなく、ふんわりした幸福感まで感じられるのは、つまりそういう主人公がそういう人だということなんでしょう。
気がつくとはっきり異界へと場面が切り替わっている、という例も多い@sakamonoさんの作品ですが、今回はどこまでも境界が茫洋としていて、それゆえに
>消えたぼんぼりは、うっすら白く光の跡を闇に残し、点々と板塀の上を奥へ続く――白木蓮が満開だった。
のような比喩がひときわ味わい深く読めます。
ところで信楽焼みたいな毛深いキャラって、つまりは土地神みたいなもんだったんでしようかね? なんだかこの主人公の周りは、日常的にこういうのがうろついているような印象です。日々楽しそうですが、こういうのはページの外から眺めるのが吉、というもんでしょうか。
作者からの返信
人も人以外も関係なく、勝手気ままに交流している、という前提だったので、気楽という言葉をいただいて、とても作品にフィットした感想だなぁと思いました。勝手気ままな交流の説明は何もありませんが、この短編集を読んでいただいた方なら、その空気が何となく伝わるかなと。何事にもこだわらない飄々と行動する主人公、というコンセプトです。早春に咲く花ばかりが出てくるのは、その頃に書きだして完成させられず、この時期になってしまったことを意味しています(笑)。「消えたぼんぼりは……」のところ。このお話の最初の発想が「ぼんぼりのように灯るハクモクレン」というイメージでした。でも書いていてハクモクレンが全然登場しない。どうにか登場させたくて、前後のつながりを考え、四苦八苦してねじり込んだ一文です。そこに言及していただけたことが、苦労の甲斐があったというか、とてもうれしいです。唐突に登場したタヌキ。この土地に長く住んでいるのですが、そのヘンの説明もまるでありません。連作短編っぽく、この後にまた登場させて、何らかの説明をなどと考えております。お読みいただき、ありがとうございました。
春の宵は不思議なものと縁を繋ぐ貴重な時間。
斑猫と漢字で見るだけでは猫の一種にも感じますが、実のところは宵にキラリと光る「道教え」の昆虫。奈落ではなく、美味しいお店にでも案内してくれれば可愛らしいのですが、肉食だけにどこへ連れて行かれても食われてしまうのがオチでしょうかね(笑)
読み手も宵闇へ誘われるような世界観は正しく奇譚。いつもと違う筆使いに、愛宕も夜の散歩をしてみたくなりました☆
作者からの返信
ハンミョウの習性をご存知でしたか。さすがです。ハンミョウが漢字だと斑猫って、何だかとても不思議な感じです。ハンミョウの顔をアップで見ると、ごつい顔で口元も凶悪に強そうで、肉食というところもうなずけます。それでも体の紋様はキレイなんですよね。そんなハンミョウに着いていくと……という恐怖譚にはできませんでした。三人称ですが視点人物が女の子なので、ちょっと苦労していつもと違う筆致になったかもしれません(笑)。内容でお分かりいただけると思いますが、早春の頃にアップしようと書いていて、書き上がらず、この時期になってしまいました(笑)。お読みいただき、ありがとうございました。
一行目が本当に美しくてしばらくその一文だけに浸ってしまいました。日々の生活に追われていると忘れてしまいがちですが、ふと気づけば季節は移り変わっていくし、自然の景色や匂いも印象的だったりしますよね。
リコちゃん、怪異に巻き込まれているのに礼儀を気にしたりとなかなか芯は剛胆なのかな、とちょっと笑ってしまいました。狸風の御仁はまたむじなのようにいくつも怪異が続くのかと思いましたが、無事に帰れたようで良かったです。
作者からの返信
一つの文章をあれこれこねくり回して考えたりするのが好きなので、とてもうれしい感想をいただけたという気持ちでいっぱいです。春先は特にそれまでの寒さから解放されたようで、いっそう季節の移ろいが感じられます。リコちゃんは、どんなことでも普通に受け入れてしまう、柔軟な心をもった女子なのですが、確かに剛胆とも言えますね(笑)。狸さんは、颯爽と登場して困っている人を助け、そして立ち去るというヒーローのような役割だけの登場でした。根は善人のようです。お読みいただき、ありがとうございました。