しんじつ 4
数十分後。
「キラキラお空にダイブして〜♪」
「雲の氷山食べちゃって〜♪」
アニメの盛り上がりの余韻に浸りつつエンディングテーマに合わせて歌詞を口ずさむ二人は、次回予告と提供テロップまでしっかりと見終えて満足げに鼻を膨らませる。
「あー、来週が楽しみでーす!」
「キュアビヤードかっこよかったなー!キュアロックと何かありそうだけど!」
突如現れた謎のペパキュア。彼女を意味深に見つめるキュアロック。そこで終わった物語に大きな期待を抱く二人が騒ぎ立てていると、ふとテレビ画面が淡い光を放つ。
そこから白いモヤモヤとした塊__周囲に浮かぶ赤い立方体が避けているのと同じものが現れると、それはゆっくりと上空に音もなく浮遊する。
「あれ?」
それに気付いたパフィンは、モヤモヤを見上げて間もなくテレビに歩み寄り、画面を指で軽く小突いてみるが、再びカラーバーになり光も発さなくなった画面は何の反応も示さない。
「今のふわふわ、何で出てきたんです?」
「ん?ああ、ペパキュアを見たからね」
要領を得ないナツメの返答に、質問したパフィンはさらに首を傾げる。それを見たナツメは含み笑いをこぼしながらさらに続けた。
「もっと分かりやすく言えば、『好きなもの』を思い浮かべて楽しい気分になったから」
「いわゆる『かがやき』ってやつ?」と付け足すナツメに、パフィンはますます首をかしげ、少ししてから口を開く。
「かがやきを出すと、どうなるんですか?」
「アイツをこの世界から追い出すことができる……って、神様が言ってた」
「ふおお!?マジですかぁ!?」
ペパキュアの余韻に浸っている内に、すっかり当初の目的が頭からすっぽ抜けていたパフィンは、パークで起きている異変の元凶を思い出すと同時に歓喜の声をあげる。
「マジマジ。ほら、あの赤いのも白いのを避けてるでしょ?かがやきを出せば出すほど世界は元通りになっていくの」
「おぉー!それみんなに伝えなきゃでーす!みんなの所に行くので出口を教えてくださーい!!」
忙しなく頭の羽をパタつかせるパフィンが鼻息を鳴らしながら空に浮かび上がろうとする。
と、その時だった。不意に両肩に重みを感じた直後、ふわりと浮かび上がろうとした足が再び地面に着く。
「…………出口!!」
キョトンとした顔のまま固まったパフィン。しかし、何事もなかったかのように再び空へ飛び立とうとする。
が、またしても両肩にのしかかる重みがその身体を地面に引き戻す。
「…………でぐ」
「いやいい加減こっち向きな」
「わきゃぁ!?」
今度は脇腹を何者かの手によってがっしりと掴まれ、全身がぐるりと後ろに向かって半回転する。
「久しぶり、って言うのも変かな?」
「……ふぃ????」
そこにいたのは白のタンクトップとジーパン、そして黒いニット帽を被った色黒の女性がパフィンを見下ろしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます