タビー、動く 3
「ひ……ひいぃ!?」
そのあまりにもおぞましい光景にタビーが悲鳴をあげると同時に、視界は今のこの世界へと瞬時に切り替わる。
「元凶の洗脳はとっくの前から始まっておった、と考えるべきよの」
「……、……」
「ん?みーむおせん?この現象にはそのような呼び名があるのか」
「…………;…………?」
「ふむ……」
スカイフィッシュがタビーを助け起こしながら、ヤマタノオロチに
タビーからすれば無言で指を奇妙に動かすスカイフィッシュにヤマタノオロチが一方的に話しかけているようにしか見えないが、スカイフィッシュも所々で頷いては指や手を断続的に動かしていく。
まるで長年連れ添った相方のような息の合い方は、タビーにほんの僅かな孤立を覚えさせる。
少しすると二人は会話(?)を終えて再び歩き出す。
それに慌てて小走りで付いていくタビーは、後ろから二人に息を切らしながら声をかける。
「な、なあ!どこ行くんだよ!」
「半ば当てずっぽうだが、宛はある」
「ア、アテ?パークがこうなった原因、どうにかできるのか?なぁ……みんな、元に戻るんだよな……?」
僅かな期待にすがるかのようなタビーの問いかけに、ふとスカイフィッシュが無言で振り返る。
無表情のままジッと見据えるその顔に気圧されるタビーは、そこから何も言えずに思わず生唾を飲み込む。
そしてスカイフィッシュが両腕を伸ばしてきたその時
「…………♪」
「…………へ?」
不意に、全身が暖かい感覚に包まれる。
何が起こったか分からないタビーの思考がストップし、全身が石のように固まる。
スカイフィッシュがタビーを突然抱きしめたのだ。
「おい。妙な慰めはやめておけ」
「…………;」
足を止めたヤマタノオロチが、振り返らないまま低い声を飛ばす。
それに対し首をゆっくりと横に振るスカイフィッシュに、ヤマタノオロチはまるでそれが見えているかのように小さくため息をつく。
「……まったく。どこで聞いたか知らんが、手も足も引っ張られるのは御免被るわ。そいつはお前が責任持って面倒見ろ」
それを聞いてニコニコと笑うスカイフィッシュは、「さっさと行くぞ」と言いながら再び歩き始めるヤマタノオロチの後をふわりと浮遊しながら追いかけていった。
「……は、離せよ!歩けるって!ガキじゃないんだから!」
「…………♪」
「はーなーせぇー!!」
恥ずかしさで顔を真っ赤に火照らせるタビーを両腕で抱きかかえながらだが。
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