パフィンちゃん、離れる③

____PPPが大空ドリーマーを歌い切り、未だ興奮冷めやらぬ会場内。ざわつく観客達に向けて、プリンセス達がステージの前に一歩踏み出る。


「みんなー!今回のライブ、何かの記念日なのは知ってるわよね?」

「え〜、そうなの〜?」

「フルルお前マジか!?」

「フルルさん、今日は私達の新しいデビューアルバムの発売を記念したライブですよ」

「フルル、そろそろマネージャーから怒られるんじゃないか?」

「やだぁ〜」


いつものフルル節を炸裂させた彼女にイワビーがすかさず突っ込み、会場内は爆笑の渦を巻き起こす。

そこへフォローを入れるようにジェーンが補足し、呆れ気味に笑うコウテイの突っ込みにフルルは顔をしかめてジェーンの後ろに隠れる。


そしてしばらくの楽しげなトークショーが一段落つき、プリンセスが一際大きな声を会場に響かせる。


「さあ、お喋りはここら辺にして!そろそろみんなお待ちかねなんじゃない?私達の新曲!」


それを聞いた観客が歓声をあげ、待ってましたとばかりに再び熱気が強まる。

そして会場の興奮が高まり続けたのを見計らったプリンセスが、片手を高らかに空に向かって掲げる。


「さあ、みんな気合い入れていくわよ!!私達の新曲、純情フリ__」


と、プリンセスの声が響き渡った時。



《緊急警報。緊急警報。パーク内に正体不明のモンスターが出現しました。観客及びフレンズの皆さんは、パークガイドの指示に従って速やかに指定の場所へ避難して下さい。繰り返します____》



突如、会場内にラッキービーストが発するどこか機械的な音声が、けたたましい音と共に淡々と警報のメッセージを響かせる。

繰り返される警報に観客達のざわめきは一気に困惑一色に染まり上がり、ステージ上にいたPPP達も表情を曇らせている。


そこへ間髪入れずにパークガイド達が会場の出入口から複数人入ってきて、厳しい表情で観客達を次々に誘導していく。


「会場内の皆さんはガイドの指示に従って速やかに指定の場所へ移動してくださーい!」

「全員一気に動かず、順番に動いてください!!危険なのでゆっくりと外へ出て下さい!!」


観客達がガイド達に誘導されるがまま会場の外へ出て行く中、アカリは近くにいた男ガイドに切羽詰まった表情で声をかける。


「すいません!水辺エリア担当のアカリです!ここは緊急避難エリアに指定されているのに、外へ誘導する理由を教えて下さい!」

「あ、アカリさん!それが、そのモンスターとかいうヤツはまっすぐこの会場に向かってきているという情報が入っているんです!」

「えっ……こ、ここに向かっているんですか!?」

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