第6話 ー時転の章 6- 俺の属性は力士らしい
そうこう思ううちに、なにやら、長屋が並んでいるとこに着く。その近くの武家屋敷に、俺とひでよしは通される。
「おッス。戻ったッス、だれかいないッスか」
「ん、どうした、
30歳くらいのおっさんが俺たちを出迎える。
「おいおい、なんだこいつ。なんで裸なんだよ」
こっちが何故なんだと言いたいくらいだ。転生くんだり、いきなり町中で荷物をおろか服まで取られたんだ。そして、今、ぱんいち姿だ。おれの人生、ハードすぎるだろ。せめて、なにかいいチートがほしいとこである。
「なにブツブツ言ってんだ。お前ら砂だらけじゃねえか。とりあえず
言われるままに、庭の井戸の前に連れていかれる。そして、おもむろに、ひでよしも着物を脱ぎだす。俺は何が始まるのかと思い、つったっていたところを、真正面から、桶で水をぶっかけられる。
「ぶっは。ちょっと、なにしやがる。冷たいだろうが!」
「み、
「冷てえええ。おいやめろって、おおおい!」
散々、水をぶっかけられ、きれいさっぱりした俺とひでよしは、屋敷の中に通される。なんか、この時代に来てから変な試練ばっかりだな。もっとこう、姫さまとのラブロマンスがあるんじゃねえのかよ。
「また、なんかブツブツ言ってんな。おい、
「そうッスよ、
「お前ら、農村から出てきたばかりか。殺しはまだか?」
「い、いえ。わたしは、
ひでよしの口から信じられない言葉を聞いた。もう、合戦にでていただと。そんな話は聞いてない。
「おい、ひでよし。どういうことだよ。おまえ、人殺しをしているってのは」
「ん?そんなの
「なるほど。このご時世に、その歳になっても、殺しどころか
「そうみたいッス。どこのボンボンかと思えば、村から飛び出してきたあたり、世間の目に触れされたくなかったかもッス」
「なにかあるのかもな。このボウズには」
なにかあるかは、こっちが聞きたいくらいだ。得意な相撲は、ひでよしに勝てないことで完膚なきまでに自信を喪失している。
「まあいい。おい、ボウズ。その格好じゃ、さすがにあれだ。服をもってくるから、そこで待っとけ」
すっかり子供あつかいだ。そりゃ、見た目30近いおっさんのあんたからしたら、ボウズなのは間違いないが、釈然としない。
10分後、着物を持って、
「お待たせ。そういえば、名前をまだ聞いてなかったな。俺は
「わ、わたしは、中村出身のひでよしです。こ、こちらのものは、
「
「お前ら、弓矢はだめとしても、槍くらいは使えるよな。突く、払う、叩く。これだけだ」
俺は正直に
「いや、実は槍すら持ったことがないんだ。相撲一辺倒だったんでさ」
「ああ、そうか、お前、
俺はふむふむと聞きつつ、着物を着る。なんだこれ、相撲取りが着る浴衣じゃないのか。
「お、似合ってるじゃない。ここには力士出身のやつも多い。そいつら用にゆったり目の浴衣があるんだ。ちょうど背丈にあうのがあってよかったぜ」
あとそれととばかりに、なにやらジャラジャラと音をならしながら袋を渡してくる。
「これは支度金だ。5貫入ってる。槍とか、
5貫っていくらだろう。たしか2000貫で2億円ってのは聞いたことあるから、逆算して、え、え?
「おいおい、50万円もくれるのかよ。織田家はすげえな」
「それだけじゃないぞ、一カ月ごとに、給金で2貫出す。給金の分だけしっかり働いてくれよ」
支度金に50万円、月に20万円。高校、出たての俺にとっては大金だ。俺、飛ばされた先が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます