第2話;いじめ

教室に入ると窓際の一番後ろの席に座る

「座れ~!親睦を深めるために、名前と出身地、前世の事、自己紹介!廊下側から

そう担任の橘先生が言う


「安部輝彦、北海道札幌市出身、両親は能力持ちで医者をいてます、前世はパン屋やってました。」

次々に自己紹介中

(ああ、一般兵士だった奴ね)

殆ど知っている倭子は眠くなってうとうとし出していた。


「渡辺!」

「おい!」

「渡辺!」


「ん?・・・・・」

「お前の番だぞ」


「あ・・・えっと、渡辺 倭子です、東京都出身 前世は此処とよく似た世界で、同じく普通の女子高生してました。誰とも仲良くなる気は無いので、ほっといてください。」


ザワっとしたが


「え?初めて聞いたその前世、普通って」

笑う女子がいた。


(・・・・いじめ始まるな・・・)


うんざりする倭子だった


何がきっかけか、貴族の記憶を持っている、雨宮 麗子がいじめてきていた、

落書き、内履き捨て、ごみを机にばらまき、かばんを池に放り込み、体操服を刻まれた。


落書きは気にせず、ごみは魔法で片付け、ぬれたかばんは風魔法で乾かし、内履きと体操服は新しいのを支給してもらった。

落ちこぼれだが、唯一風魔法が使えることにしている私は、それで十分対応できていた。


反応が一切返ってこないので、最後には暴力、教室で皆の前でびんたをくらった、風で防御したので、痛くないけど・・・


「何が気に入らないのかわからないけど、こんな事して楽しい?顔見てご覧、醜(みにくい)顔してるよ」

「醜いですって!あなたの存在が気に食わないのよ!」



再度手を挙げてきた麗子、

じっと瞬きもせず、麗子を見ていた

すると、誰かが麗子の腕を掴む

掴んだのは、先生だった

「雨宮!いい加減にしておけ」


そう言ううと、倭子の前に制服のスカートを渡す、

制服も切り刻まれていて、冬用のスカートを着ていた


「雨宮、後で第三職員室へ来い」


それからいじめは止んだ、怒られ注意されて、私の事は、完全無視を決めたらしい。

それはありがたかった、窓際でボーとしている倭子、気配を完全に消したので、倭子が居ないような空間、それが何時もの教室の様子になった。


数ヶ月たった、体育の時間、この学園の体育は魔法訓練だった。

ランダムで指導の先生が対戦相手を選んで実践訓練中、先生が携帯で誰かと話を始めた、そしてそのまま近くにいた生徒に何か言うと訓練場を出ていった。


訓練も進んで、落ちこぼれクラスでも、力が付いてきている生徒達、大きな魔力の流れを感じて、これはやばいと思った時。



魔法がぶつかり大きな爆破が起きた。


あちこちから悲鳴が聞こえる!


砂塵が舞い何もみえない訓練場。


私は、観覧席から訓練場に飛び降りて、風を使い砂塵を吹き飛ばす。

見ると、2人が倒れていた。


「西田!(保健委員)、矢田を抱えろ!西本(学級委員)他にけが人が居ないか確認して、酷い様なら保健室に」

「え?あ?・・・渡辺?・・・」

「早く!すぐ動け!」

「え?あ、分かった」

西田が矢田を抱フワッと軽く抱き上げると、雨宮麗子を横抱き(お姫様抱っこ)している私の後を、付いてきた。


「矢田が軽い、渡辺!お前の力か?」

西田が言ううと

「そうだ、急ぐぞ」


「う~ん・・・渡辺さん?!・・・いっ痛・・・」

腕の中の麗子が気がついた

「黙って、肋骨が折れてる、喋ると痛いぞ」


何故かいじめていた自分を、本当に心配そうにしている倭子を見て、複雑な気持ちになっていた。

腕の中が心地いい、不思議な気分だった。


保健室に着いた、中に入ると先生はびっくりしていた。


「何事?、2人とも重症じゃない」

「矢田くんは足の骨折、雨宮さんは肋骨が折れてると思います、肺に損傷は無いと思いますが、検査して、後はよろしくお願いします。」


「え、えぇ、そうみたいね」


西田は呆気に囚われていた


保健室と言えど、レントゲン室、血液検査室、簡単な手術も出来る、病院と変わらない設備がある保健室だった。


2人を置いて保健室を出た私らふたり

私は、指導の先生を探した。



保健室で、目覚めた矢田に雨宮が

「結構胸大きかったよ、着痩せするんだ、倭子ちゃん」

ぽっと顔を赤くする雨宮麗子だった。


矢田は、足の痛みに泣きながら、大丈夫か?という顔をしていた。


訓練指導の先生を探していたらちょうど目の前居た、

訓練場に戻ろうとしているのだろう。


「三枝(さえぐさ)!貴様、何処に行っていたんだ!」

「え?渡辺?!西田も、こんな所でなにしているんだ!」

倭子が三枝の胸倉を掴む、身長差から下から掴む形になるが、その勢いにたじろぐ先生、

「訓練中の生徒をほったらかしにして、!」


「先生、矢田と雨宮が骨折しました。」

そう西田が言うと、さすがに青ざめる三枝先生


「聞いてるよなぁ、ここに居る生徒はみんなDランク以上の特殊能力者で、力があまり無いと言われている生徒も、使い方が下手なだけで訓練しだいでどうにでもなると、むしろ下位クラスのほうが下手すれば厄介だって、暴走して、下手すれば死ぬと!

ふざけんなよ!生徒を殺しかけたんだぞ解ってんのか!」


まくし立てるように言っていたら、クラスの連中数人が保健室に向かって歩いてきていた


倭子の剣幕に皆驚いて、呆然としていた


クラスメイトに気がついて

「橘、細川、谷田部、真下、怪我したのか?」

そう言うと

「軽い焼けどだ」

学級委員長の西本が答えた


「西本の力かそれ」

4人の火傷している所に水の玉が浮いている

「十分冷やしておけば、痕が残りづらいから、水で冷やしてる」


「先生、保健室に皆を連れて行ったらどうです?」


黙ってうなずいて皆保健室に行った


「渡辺って何もん?」

そう聞いたのは直ぐ後ろで固まっていた西田だった

「ぐうたらな、たんなる女子高生だけど?」

「・・・・」


その後平穏な、教室での存在しない時間が減って行くのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る