『おかま伝説』佐祐ちゃん、姫ちゃん
佐祐ちゃんは姫ちゃんより一年先にうちに迎え入れられました。
佐祐ちゃんはホーランドロップイヤーラビットの男の子です。
ですから、お嫁さんにと、ペットショップで、ホーランドロップイヤーラビットの女の子を捜していました。
そうしたら、ブロークントートの可愛い子がいるではありませんか。
まだ、鼻の先と背中が少し茶色いだけの白地がメインの可愛い子でした。
ペットショップの女性の店員さんに、尋ねました。
「お嫁さんが欲しいのですが。男の子ですか女の子ですか?」
「分からないけれど、男の子です」ときっぱり言った後で、「女の子でした」と撤回されました。
夫も覗いていたのですが、分からないとのことでした。
お股を見ても毛がふさふさだし、その子は、暴れまくってました。
結局、その子を買って来て、帰りの車の中で『姫ちゃん』と名付けました。
気が早いですが、どう見ても『姫ちゃん』だったのです。
ママも夫も、姫ちゃんは女の子だと思っていて、佐祐ちゃんとは、別のケージで暮らさせ、お散歩の時間もずらしていました。
ケージ越しにお見合いをさせると、佐祐ちゃんも姫ちゃんもどきどきする程気が合うようでした。
「これはいける!」
私一人、きらきらしていました。
「可愛い赤ちゃんを無事に産んでください」
そっとお願いしました。
「もう、会わせても良いでしょう?」
夫にせがんで、姫ちゃんが我が家に来てから半年程経ちましたので、ケージから出しました。
マウンティングの嵐です。
お互いにマウンティングをし合うので、ぐるぐると回ります。
女の子もするからと思って楽しんでいたのですが、夫が疑念を持ったようです。
「引っ繰り返してみよう」
夫の見立てでも十分立派な男の子でした。
夫は大笑いをしましたが、特にママのそのショックは隠し切れませんでした。
男の子だと判明しても、考えても考えても、『姫ちゃん』は『姫ちゃん』です。
餌をやる時はママは『お姫』、遊ぶ時は夫は『姫すけ』と呼んでいます。
佐祐ちゃんは、姫ちゃんをお嫁さんだと思ってますか?
姫ちゃんは自分を男の子だと思ってますか?
どちらにしても、ママは佐祐ちゃんも姫ちゃんも好きです……。
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