第9話 1歳の誕生日です

 今日は、私の1歳の誕生日です。この世界に誕生日を祝う風習があるのか分かりませんでしたが、先祖の転生者が広めたようで、このスライム家では、毎年誕生日を祝うようです。


 特に盛大に祝うのが、1歳・3歳・5歳・7歳、そして飛んで成人の15歳だそうです。


 目の前のテーブルには、ホールケーキに蝋燭1本。


 周りには、パパとママと使用人と沢山のスライムたち。スライムと人の割合をみると、実に7対3ぐらい。幾らスライムで貴族になったといっても、使用人ならず使用スライムが多すぎだろう!! って言ってしまうぐらい多種多様なスライムだらけです。


 何時もはパパが座る席に座って蝋燭の火をつけて、懐かしの歌を聞き終わるとふーって吹き消しました。


 女の子になりたい私は、ちょっと後ろめたいので、心底喜んでこの誕生日会を楽しめないのですが、それは皆には関係ありません。


 最後まで笑顔で喜んでいますってアピールで頑張らないとって気合を入れて挑んでいました。


 蝋燭の火を消した後のイベントは、プレゼントです。


 パパが目の前に来たので、まずパパからのプレゼントかな?


 「両手をそろえて前に出した後、目をつむってくれるかな?」


 はいはい。プレゼントをもらうのだから何も考えなくても安心です。言われるままサクッといきますよ~。


 そして、手のひらにひんやりしてプルンとしたものが触れました。これって、スライム?


 ゆっくり開いて両手の上を見ると、5センチサイズの透明なスライム。こんなに小さくて透明なスライムは初めて見るので、思わず「鑑定」。





  名前 @@@


 性別 女


 「始まりのスライム」


 レベル1


 どのスライムにも進化することのできるスライム


 生命力 4


 魔法力 ---


 運命力 999


 スキル ---  ---  ---  ---  ---


 って出た。このーーーって、無しだとスキルのところに矛盾が生まれるので、これから成長とかしていくってことだよね。


 ということは、にゃんにゃんスライムなら、ジャンプとか愛想とか狩人などのスキルが付いて、ぱたぱたスライムなら、飛行とか光魔法とか回復魔法などのスキルが付く。


 要は、進化したものによって変動するってことね。


 「この子は、オージンの相棒になるスライムだよ。家族と思って大切に育てるんだぞ」


 「はい! 分かりました。パパ」


 「では、まずは名前を付けようか。もう分かっているかもしれないが、その子は女の子だよ」


 そう、スライムといえば性別がないものと思っていたけど、この世界のスライムには性別があるのです。 


 衝撃的なステータス事件のお詫びとして、新たに女神様がくれたスキルが、「何でもポケット」と「鑑定」。


 スライムを「鑑定」して知った時は、衝撃的事件だった。今じゃ、それが常識として普通に定着した。


 遠い目・・・・・・。


 丸くて猫耳あって、可愛い尻尾がゆらゆらもふもふが「鑑定」で「にゃんにゃんスライム」と出た時は、思わず「あんぎゃらーーー!!」って叫んでしまって、全員集合させてしまったのは、いい思い出だよね・・・。


 取り合えず、この手の中のぷにぷにぷるぷるなスライムさんの名前を考えなきゃね。


 スライムの「ス」を取ってライムってどうかなぁ? いやダメダメ。単純すぎる。ライムは柑橘類だから・・・、「もも」「みかん」「オレンジ」「ポンカン」「れもん」。


 ぷりゅりゅ


 手の中のスライムが揺れた。


 「れもんだね」


 もう一度訊ねると、ぷりゅりゅん と揺れる。どうやら「れもん」で決まりの様です。「鑑定」でも、しっかり名前が「れもん」になっています。


 「れもん。これからよろしくね」


 「れもん。可愛い名前ね。いっぱい可愛がってね」


 ママが私とれもんを一緒にそっと抱きしめました。ちょっと照れくさいです。


 見た目はねぇ~あれですが、もごもご。


 「次は、私からね」


 ママが使用人に声をかけると、分厚そうな本と薄い本数冊を持ってきました。それを受け取って私の前のテーブルに置きます。


 どうやらこの本らがママからのプレゼントのようです。本は、今の私には重すぎるので、取り合えずテーブルの上は正しいです。


 ただ、こんなに本をってことは、勉強が始まるってこと? こんなに沢山学ばないといけないのか・・・、ため息が出そうです。 


 これがプレゼントって、いらない・・・ヤ・・。


 何気に一番上の表紙を見て驚いた。

 

 「日本語!!」

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