第31篇地獄に慣れた

放課後の教室


何より目立たない


歪んだ机がある


花の香りがする


もう春かい


夏も近い


桜さんよ


ショートカットのあの子


クラスで一番


美人なのに


あの机のように


目立たない


「月の子」って歌


あんな感じ


あの子の眼差しは


俺を


天国へ落としたり


地獄へ落としたり


……


夜だってのに


星もない空に


月明かりを摘むのさ


酒で紛れるくらいなら


ネットの旅人


続くわけない


眠りの心地良さは


第4位くらいだ


サプリメントを


主食にして


健康になれますか?


立川駅前の電光掲示板に


流れ続ける


俺は月の放浪者を気取る


ネットカフェで


新聞読んでも


3日前の酔いが回ってくる


街はおやすみモードに入る


俺は帰りの自転車に乗り


なんだか神妙になってくる


周りは暗闇なんだけど


道の先に光明を見た


それが何であれ


人気のない


月の午前3時


もう一度


遠近両用眼鏡で


目を凝らす


心が叫んでる


声にならないけど


どうやら


幻の呪縛は解けない


夢の登場人物が


いつも決まってるように


俺は


夢を見続ける


自分の小宇宙の


広大さを思い込みながら


……


夕焼けの教室


牛乳瓶の花は


枯れていなかった


2015(H27)3/23(月)



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