第30話

世界の 池田満寿夫


絶望からの 奇跡

池田満寿夫は 戦前 昭和9年 生まれで 昭和20年 終戦の時 なんのツテもない 池田満寿夫は

長野には 何の運もなく 上京し 芸大も 3回 実技で

落ちて 、苦労の 果てに バカにされながら

似顔絵描きを

飛びのみの 飲み屋で 袋だたきに会い


平山郁男 東山魁夷などとは 対極の 地獄の生活を強いられた。

25才に なった いっこうに 芽が出ない

池田満寿夫は たまたま 紹介で 詩人の 新進気鋭の

富岡多恵子に 呑み屋で 奢ってもらった。


美貌才女 富岡多恵子は 延々と 愚痴と 辛いと

いう 話しかしない 池田満寿夫の話を聞き


普通なら そんな 運も 才能の 誰も 相手にされない

落伍者には 見向きもしないが


才能あるが 金は無い 富岡多恵子は

絶望感しかない 延々の 辛い 愚痴しかない


うだつの上がらない 池田満寿夫の そこ無しの

曇り果てた 池田満寿夫の 究極の 絶望の 瞳に


驚くほどの 底知れぬ 母性愛なんかとは 全く違う


底知れぬ 魅力を 感じた。


金がない 富岡多恵子が 大阪での 教師を辞め

渋谷の ボロアボートに 引っ越して

池田満寿夫と 生活を マイナスから 始めたのは

半年後で


まったくの 人生の 夭折寸前の 池田満寿夫が

世界一の 池田満寿夫になるのは

それから 6年後ことである。


こんな話は ほとんど 聞いたことはない。


世界一 曇り果てた 絶望と 延々の 愚痴と

難解な 無名の ほとんど 浮浪者の

未来もないもない 絶望の 人間に

、魅力を 感じる 女は 果たして いるだろうか?


少なくとも 今までは あったことはない。

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