乙女心
制御ルームにはカレンとレイ、ゼロ――そして治療中のトウマが残っていた。
ゴールドメタルで性能アップしたリペアシステムの台の上に、トウマが横たわっている。白い天蓋の下、金色の光が燦々と降り注ぐ。少し口を開けて無邪気な顔で眠るトウマは、子供のようだった。
「なんか、トウマと初めて出会ったときもこんな感じだったよねー」
トウマが、川に落ちたギルナを助けようとして、代わりにニア村の滝壺へと流されてきたのだ。たまたま川でレイを洗っていたカレンは、モンスターと間違えて魔導書でおもいっきり殴ったのだった。
「イヤなことを思い出させないで……うぅ」
モンスターとの戦闘以外で、魔導書で殴ったのはトウマだけだ。
(どうして私、トウマに乱暴しちゃうのかしら)
はぁぁ……、とカレンは溜息をついた。
レイはカレンから離れるとゼロの背後に近付き、のっし、とゼロの頭の上に上体をもたせかける。たわわな胸がゼロの後頭部に密着しているのだが、ゼロは眉さえ動かさない。
「レイッ……そのっ、む、胸が……」
一応カレンが注意すると。
「えぇ? アタシいつもゼロの頭の上にのっかってたじゃない。それにゼロはなーんにも感じないから別にいいのよう」
レイは平然としたものだ。
「否定はしないが、レイ。人間体になって体積が増えているので作業に差し支える」
「ほらね。それにしてもトウマ、なかなか目が醒めないねー」
と、レイはリペアシステムの端に腹這いになって、トウマを覗き込む。まるで子供だ。だが、体はカレンよりもほどよく成長しているので一つ一つの動作がセクシーだった。
「レイ、治療の邪魔しちゃだめよ」
「邪魔にならないもーん。ふー、リペアシステムの光って気持ちいーい。細胞が活性化されるう」
まるで日光浴でもするように、レイはごろんとトウマの傍らに横になった。日溜まりにいる猫のようだ。
(ちょっと、何してんの――っ!?)
と、喉まででかかったのをぐっと呑み込む。
レイはそのままころん、とまた腹這いになり、トウマの額に手を伸ばす。カレンは、胸の奥底にわだかまるもやもやとした何かを抑えるのに精一杯だった。
レイの手がトウマの髪や頬に触れる。
「レイ、あんまり触ると……痛い……かもしれないじゃない?」
カレンはやや尖った声で言うが、レイは気にした様子もない。上体を起こすと、手のひらをたんこぶあたりに乗せて呟いた。
「痛いの痛いの、とんでけー」
(――バッカみたい、そんな子供っぽいこと。リペアシステムの中にいるのに)
そう思いながらも、なぜだろう、カレンはレイが羨ましく思えるのだった。
「ん――」
トウマが一声唸り、目を開いた。自分の頭に置かれた手を目で辿り、レイの顔に辿りついたときに笑顔になった。
「トウマ、大丈夫?」
「おー、なんとかな。なんかひんやりして気持ちいいと思ったら、レイの手だったのか」
「へへ、少しはアタシも役に立ったかな?」
トウマは上体を起こし、レイの頭をいつものように撫でてやった。
「んなもん、とっくに役立ってるよ」
その会話を聞きながら、カレンは視線を床に彷徨わせている。
(――レイもレイだけどトウマもトウマよ。何いちゃついてんだかっ)
「マスター・トウマ。回復したようで何よりだ」
トウマはゼロの顔をまじまじと見つめ。
「……誰?」
と尋ねた。
「ゼロよ、彼は」
カレンが教えると、でええええええ! と言いながら仰け反った。
「お前なんでそんなカッコよくなっちゃったんだ!? 反則だぞ!」
「反則の意味が分からない。これが私が人間体を取るときにインプットされた形状だ」
再び、へええええええ! と仰け反るトウマ。
「元気になって安心したわ、トウマ。さっきはごめんなさい」
それだけ言うと、カレンは背を向けて歩き出した。自分のせいなのだが、バカらしくなってきたのだ。
「トウマ、今夜はアタシが側にいて看病してあげる!」
レイがトウマの腕を取って楽しげに言う。聞き捨てならぬ言葉に、カレンはがばっと振り向いた。
「レイ、何言ってるの! トウマはもう大丈夫よ、きっと、多分、恐らく」
「ぶん殴った犯人がそんなこと言えるのかなー?」
目を細めてレイが言う。愛らしい笑顔たっぷりで言う分痛い、悪魔的な嫌味だった。
「か、勝手にしたら?」
「勝手にするもん。トウマ、いこいこ」
オレ大丈夫だから、というトウマをレイは引っ張っていく。
「ゼロ――カレン。悪かったな。ありがと」
制御ルームを出る間際、トウマが言った。
(私が悪かったのに。お礼まで言われちゃった)
カレンは酷く落ち込んだ。とぼとぼ、と歩いたが、急に立ち止まる。
「リグラーナっ!!」
トウマの部屋には薄着の魔王が二日酔いで寝ている。夕食も食べなかったのだ。両手に花とはこのことである。
「待って待って待って、ちょっと待ってーーー!」
カレンは猛然とトウマの部屋の方へ駆けだした。
その後、すったもんだの挙げ句、トウマは床で、少女三人はトウマのベッドで夜を過ごしたのだった。
(――私、何やってるのかな……)
翌日。
トウマとごく自然に接したいのにうまくいかない。それどころか滑稽もいいところである。
「えっ、じゃあカレンが一緒に行ってくれるってこと?」
キリクが驚いて聞きかえす。
「そのつもりだけど。それとも、私じゃダメな理由があるの?」
カレンが少し意地悪して言うと、キリクは両手をぶんぶん振った。顔に似合わないオーバーアクションである。
「いや、そういう意味ではなくて! 僕はむしろ嬉しいんだけど……」
キリクは少し間を置いて、ぽつぽつと話しはじめる。
「そのことで、カレン。君がまた色々考えて悩みが増えるんじゃないか、って心配なんだ」
どぎまぎしながら、カレンはキリクの顔を見つめる。
「それって……どういう意味?」
笑顔を作るつもりで、頬がこわばっているのがカレン自身よく分かっていた。キリクは暫く目を伏せていたが、腹を括ったのか、顔を上げてカレンを見返した。
「僕は部外者で、ここに寝起きするようになってからまだ間もない。だけど、その短い時間の中でずっとカレンの側にいたから分かることもある」
聞きたいような、聞きたくないような気持ちで、カレンはキリクから目を反らす。
「トウマとの関係がぎくしゃくしていて、多分、カレンはそれを何とかしたいと思っている……だろう? だったら、擦れ違いを生むような事は、今は避けたほうがいいと思う」
カレンの頬に血が昇る。キリクの言葉が的を得ており、かえって腹立たしく思われた。
「私とトウマは別に……それぞれの聖剣の主ってことで協力しあう関係にはあるけど。確かに、最近ちゃんと意志疎通が出来ていないけど、でも……相手は気ままなトウマだし、いつものことだわ。キリクがそこまで気を配る必要はないのよ」
カレン自身、声が尖っていることに気づいているがどうしようもなかった。今までカレンは仲間以外に素の感情を見せたことがほとんどない。キリクはセイントの『客』だった。その彼に苛立ちを直接ぶつけてしまったのだ。
キリクは一瞬、傷ついた顔をしたが、その表情をすぐに消した。
「……ごめんなさい……」
カレンは呟き、うなだれた。
「こっちこそごめん!」
すぱっ、とキリクも言って頭を下げ、顔を上げる。微笑んでいた。驚くカレン。
「カレンに謝らせるようなことを言って悪かった。僕は、君に謝ってなんかほしくない。笑顔でいてほしいんだ。怒るかもしれないけど、君は自分を責めてばかりで……眉間のシワが癖になってる」
言われて、カレンはぱっと両手で眉間を押さえた。乙女は目元口元眉間のシワに敏感なのだ。
「どこ!? ホント!? シワ寄ってるの!?」
ぷっ、とキリクは吹き出した。
「冗談だよ」
「もう! からかったのね!」
ぎゅっと眉を寄せ、半ば本気で怒るカレンの眉間を、キリクの指がすっと押さえる。
「ほら、シワ」
カレンはきょとんとし、数秒後に顔を赤らめた。それ見て、キリクも照れたのか指を離し、横を向く。
気まずい空気が流れるが、カレンは、不思議と悪い気はしなかった。
「コーヒーを持ってくるよ」
いつもならロボットに命じるところ、キリクは席を立って図書室の出入口へ向う。彼自身、気恥ずかしいのかもしれない。
カレンは自分の額に手を当てる。指で押さえられた眉間が少し熱っぽく感じられた。キリクとの距離の近さに、今さら鼓動が早くなった。
(キリクはいい人だわ)
しかし、ただの『いい人』がカレンの行動から気持ちを敏感に察し、こんな慰め方をするだろうか。
(ううん。歴史研究者たるもの、思い込みや偏見を排除しなくちゃ)
祖父の言葉を思い出しながら、カレンはこっそり深呼吸をした。キリクが自動ドアの前に立つより先に、ドアが開く。
そこには黒衣の美青年姿のゼロが立っていた。怪訝そうな顔をするキリクに、ゼロは言った。
「マスター・カレンに来客だ」
聞きつけて、カレンは立ち上がる。
「前にも同じようなことがあったわね……お客様って?」
ゼロが横に退く。
その姿を見て、キリクとカレンは異口同音で叫んだ。
「「――皇帝っ!?」」
豪奢な白銀の鎧に大剣を背負い、白いマントを纏った長身の青年皇帝――グレゴリア=イゴール=エルドスムスⅡ世だった。
キリクは来客がグレゴリアであると分かった途端、胸に手を当てひざまづいた。宮廷式の挨拶だ。
皇帝は。
「苦しゅうない。立つがよい」
と、いつもの王者ぶりであった。だが、顔を上げたキリクの顔を見ると、引き結んだ口の端がわずかに綻んだ。
「リーダ、面倒をかけているな。どうだ、研究は進んでおるか」
これには、カレンは少なからず驚いた。身分に関わらず率直に功績を認めるのは王者としての有り様を示している。だが己にも他者にも厳しいグレゴリア皇帝が人を労うのは珍しいことだった。それだけキリクの覚えがめでたいということだろう。
皇帝はカレンへと視線を向け、軽く会釈する。
「ご機嫌麗しく、聖剣の主。相変わらず本の虫かな。たまには太陽に当たらないと、咲く花も咲かないだろう」
洒落っ気がある言い回しは、この青年皇帝が無骨一辺倒ではないことを現している。だが多分、キリクはそのような皇帝を見たことがないのだろう、目を丸くしていた。
「こんにちわ、皇帝。お久しぶりね」
カレンも軽く会釈をする。人間族を統べる最高統治者を前にしてこんな普通の挨拶ができる者は他にいない。トウマに至っては「グレゴリア」の呼び捨てであるのだが。これにもキリクは、驚きを通り越して呆気に取られていた。
カツカツと靴音を軽快に響かせ、皇帝はカレンの側に来る。
「今日は要件が2つと半分あって、訪ねてきたのだ」
カレンは首をかしげる。
「半分?」
「うむ、半分のほうは……」
言いながら、きょろきょろと周囲を見る。
「トウマはまた“お出かけ”か」
「トウマならニア村に行っているわ」
ニア村では、人口が増えたため水路を新しく作っている。今日は朝から、ガリュウやゲノムなど馬力のあるメンバーを連れて工事の手伝いに行っているのだ。
「呼び戻しましょうか? ニア村には通信端末を置いてあるから……」
「ふむ。いや、待たせてもらうとしよう。他の2件については、カレン。お前に聞いてもらったほうが良いだろう」
そのとき、キリクが声をかけてきた。
「では、私は席を外します」
「要件のうち一つはお前にも手伝ってもらわねばならんことだ。近くに」
と、皇帝はキリクを手招きする。恐る恐る、キリクは皇帝とカレンの方へ歩み寄った。
「カレン。このリーダはどうだ」
漠然とした質問である。なのでカレンも当たり障りのない答え方をする。
「とてもよくしていただいてるわ。博学で、細やかな気配りが出来る人ね。おかげで本や資料の整理もはかどっているし、今、面白い研究テーマに挑んでいるの」
「ほう。それは何か」
「まだ秘密。私とキリクのね」
カレンはふざけて片目を瞑った。ほう、と皇帝はキリクの方を見る。彼は、この落ち着いている青年にしては珍しく、顔を少し赤らめていた。
「成る程」
皇帝は妙に納得すると、カレンに向き直る。
「リーダは史上最年少でアカデメイアに入った秀才だ。古代技術にも精通しており、贄神討伐の際は歴史学の分野を越えて尽力してもらった。何より……なかなかの好青年だろう?」
最後の余計な一言に、キリクだけでなくカレンまで顔を赤くした。それを見て皇帝は喉の奥で笑って、言った。
「トウマの唐変木め。知らないうちに庭の花が摘みとられていた……などということにならねばよいがな」
(どっちも唐変木っぷりではいい勝負だわ……)
カレンは思った。
「しかし、トウマの辺境での活躍ぶりは認めねばならんな。聖剣の主という中立の立場だからこそ、円滑になしえることもある」
皇帝の口ぶりから、カレンは難しい状況を察した。人間族と魔属は、数千年に渡り敵対してきたのだ。皇帝と魔王が歩み寄ったのは最初の一歩に過ぎない。
「長きにわたる確執は両者の間に深い谷を作っている。底の見えない、深い谷だ。それを、トウマはいとも簡単に跳び越える……面白い奴だ。あの軽さだから為し得るものか」
皇帝はほろ苦く笑う。彼にしては最上級の誉め言葉だろう。ただ、グレゴリアも多少ライバル心があるのだろうか、面と向かってトウマにそれを言うことは皆無だった。
トウマが誉められると、どうしたことか、カレンも嬉しかった。
「トウマは……あなたが思っているより、ずっと重いものを背負ってる。普段は脳天気だし、単純だし、ちょっと考えなさすぎだし、とんでもなく鈍いけど」
「カレン。後半が前半を全て打ち消しているのだが」
皇帝の冷静なツッコミにも負けず、カレンは続ける。
「私も最初の頃は『なんていい加減で軽い人』って思ってたもの。でもね」
何も知らなかった、何も思わなかった頃を思い出し、カレンはくすっと笑った。
「家族も仲間も失ってしまったら……遊牧民族だったトウマは、辺境で魔属と帝国の戦争にまきこまれたの。きっと、もう何も失いたくないんだと思う。あの行動力も、力を求めることも全部それに繋がってる。私、それを知るまで全然理解しようとしてなかった、トウマのこと。それが一番愚かなんだわ……何も知らないままで決めつけて、分かり合う機会を逃してしまうことが」
不思議だった。当の本人を前にして言えないことが、他人の前では冷静に語ることができるのだから。
今朝だってちゃんと謝る機会を逃してしまい、内心は苛立っていた。
成り行き上、トウマの部屋で女三人が夜明かしをして一騒動が起きたとろへ、ニア村の村長から要請が来た。そのときのトウマの言動も腹立たしい。
『私も行きたい、トウマ』
甘えたように言うリグラーナにトウマは少し考えて答えた。
『こないだのぴらぴらの服着てくんなら、いいぜ』
拒まない上にコスプレ要請ときた。
すったもんだの末、魔導書をちらつかせてトウマに断らせたのだった。朝から図書室に籠もり、資料の解析に勤しんでいたのは自分を落ち着かせたかったこともある。
今、こうして話しているとその苛立ちが嘘のように溶けていく。近すぎて見えなかったトウマの『輪郭』がはっきりしていく。
皇帝の含みのある視線に気づいて、カレンは手をぶんぶん振った。
「ち、違うのよ! 私はただ、あなたが思う以上にトウマも考えてるってことを言いたいの……!」
「何が違うのか分からぬが。しかし……そうか、我が軍の戦いで……。余にトウマが感情的に絡んでくるのも理解できた。ただの子供だと思っていたが認識を改めねばならん」
「確かにトウマはあなたに勢いよくつっかかるわね」
「あれは余への、同性としての嫉妬と憧憬の裏返しだと思っていたのだがな」
平然とした顔で言う。さすが王者である。文武に優れ、容姿端麗、人間世界のトップなればこその言葉だった。
(――すごい自信……分けてほしいわ)
カレンは自信満々のグレゴリアに少し意地悪をしたくなった。最近のカレンは言葉の意地悪が得意なのだ。
「あら、でも……リグラーナはトウマがお気に入りのようだけど」
即答するグレゴリア。
「そんなことはないぞ」
「そうかしら? リグラーナはトウマのことかわいいって言ってたわ」
バン! とグレゴリアが強く机を叩いたので、カレンとキリクは肩をすくめた。
「大体、かわいいと言われて喜ぶ男が阿呆なのだ」
「別にトウマは喜んでないと思うけど……」
「余のほうが大人であるし、トウマより背も高いぞ! なのに、リグラーナはトウマを買っておる節がある……いや、あくまでも節であって、本当に買っているわけではない、断じて――多分――しかし、気に入らない」
真顔で皇帝がぶつぶつと言っている。
つまり、そういうことなのだろう。カレンは込み上げてくる笑いを堪えきれず、吹き出した。
「なぜ笑う」
「ごめんなさい……でも、あなたも普通の男の人だなあと思って。そのほうが魅力的だわ。皇帝だからって女の人が全員なびくわけじゃないと思うの」
「女人はよく分からぬ」
ぶすっとした面持ちで呟くグレゴリア。その横顔は、皇帝ではなくありきたりな青年だった。
今、上の階でリグラーナはごろごろしているはずだ。クロスワードパズルの本を与えたところ、それに没頭している。
「ところで、リグラーナとは……」
カレンが曖昧に尋ねると、皇帝はぽん、と手を打った。
「おお、そうなのだ。先日視察に出かけたところ、体調が悪いと言って引き返したらしくてな。余は公務を果たさねばならないので付き添えなかったが……ディアナの話によるとまだ具合が悪いらしい。顔が腫れていので余にも病床の姿を見せてくれないのだ。
顔の造形がいささか変わっていてもリグラーナであることに変わりはないのに、それが女心というものか。なかなか――いじらしい」
のろけてる、のろけてる。
だが当のリグラーナが家出ならぬ城出をしていることに気づいていないとは酷い話だ。
(リグラーナもこれじゃあ苦労するわ。本当に男って……)
「……む。戯れ言はさておき」
軽く咳払いをして、皇帝が話を変えた。キリクが傍らに控えていることを思い出したのだろう。
「まず一点は、このセイントと我が城に通信端末を設置させてもらいたいのだ。復興事業などで、色々と連携を取らねばらんからな。聖剣の主たちだけに面倒はかけられぬ」
そう言って、キリクの方を見る。
「は。セイントの機能を利用して、帝都との遠距離通信も可能です。カレンの許可、ゼロの協力があれば……ですが」
「もちろんOKよ。ゼロには私からも言うわ。それで、もう一つの用件というのは?」
カレンが尋ねると、皇帝は一瞬、難しい顔をした。
「それは、後ほど二人だけで話をしよう」
どうやら、かなり難しい内容のようだった。
「じゃあ、今から制御ルームに行ってキリクとゼロに作業をしてもらいましょ。それからトウマを呼び出すわ」
「村で必要とされているのだろう。無理矢理に呼び戻さずともよいが」
カレンは困り顔で答えた。
「いいのよ。でないと、戻ってくるのは3日後になるかもしれないもの」
やや黙って。
「……今朝、脅しすぎちゃったから」
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