2月5日 変な人たち

 二十度近かった前日とは打って変わって、寒い朝を迎えました。

 いつものように集合場所へ行くと、怪しい少女が一人。

 背格好からするとカンナちゃんのようですが……顔が見えないのです。

 帽子を深くかぶり、ネックウォーマーを目の下まで上げているので、まったく顔が見えない。

「誰だよ。全然顔見えないじゃん」と言うと、さらに引き上げて、かろうじて見えていた目まで見えなくなりました。

「こっちからは見えるよ」

 そう言いながら怪しいままのカンナちゃんでした。


 学校へ向けて出発すると、ユウタ君が自転車の前カゴに手を掛けて歩いています。

 最近、なぜかこのポーズがお気に入りのようで、後ろから見るとかごと肩を組んでいるような感じ。

 その内、何を思ったのか、肩を組みながら左手でカゴへパンチをしています。

 ステンレス製の割と頑丈なカゴなので、ユウタ君のパンチではびくともしません。

 するといきなり肘打ちがさく裂!

 ボコッと言ういい音がしたけれど、傷んだのはユウタ君の方。

「大丈夫?」との声も気にせず、今度は頭突きをお見舞いしています。

「頭が痛くなっちゃうから」と止めさせると、今度は右の手袋を外しています。

 どうするんだろうと見ていたら、左手に被せて一言。

「これで痛くないよ」

 左手でパンチするも、びくともしないカゴに不満げなユウタ君でした。

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