12月12日 冬のコネタ

 昨夜は雨だったので、自転車を事務所に置いて帰宅。

 今朝も雨ということもあり、久しぶりにみんなと一緒に歩いて学校へ向かいました。


 リンちゃんは集合場所へ来るなり、ティッシュポシェットをずいと突き出してきます。

 学校へ行ったら付けるんだし、今から付けておけばいいのに。

 俺は執事かよ。

 という心の声を胸に秘めたまま、黙って受け取ってダウンのポケットへ。


 さしている傘の他にもう一本持っている私を見て、

「なんで傘を二本持ってるの?」と、聞いてくるコウセイ君。

「一本は学校のを持ってきたんだよ」と、代わりに答えてくれるユウタ君。

 コウセイ、学習しないな。

 ん? ユウタ君、いまだに俺が先生だと思っているのか……。


 登校班の出発時間ぎりぎりにやって来たカンナちゃん。

 寒い中を走ったせいか、メガネが白く曇っていてリンちゃんやこのみちゃんに笑われてました。


 ひなの担任の渡辺先生は、若いけれど最古参。新卒で赴任して七年目になります。

 最近、ひなと話すと必ずと言って出る話題が「渡辺先生、転校しちゃうよね……」という話。

 同じ学校に七年というのはかなり長い方なので、そろそろ来年あたりかな……と話すとやはり寂しそう。


 校門前では、シリちゃんが近づいてきて手を見せながら、

「昨日の夜から、ここと、ここと、ここが痛いの」と言ってきました。

 急に寒くなったし、どうやらあかぎれが出来てしまったみたい。

「痛いの?」と聞くと、「うん、痛い。でもね――

 お母さんに見せたら、『あぁ、大したことない』

 お父さんに見せたら、『こりゃ、大変だ』って。

 どっちなんじゃいっ!」と一人ノリ突っ込みをして去って行きました。


 シリちゃんが去った後に、遅れて歩いていた四年生トリオが到着。

 リンちゃんが、ずいと手を突き出して「ティッシュポシェット!」

「ごめん、すっかり忘れてた!」

 慌ててダウンのポケットから取り出して、リンちゃんに渡しました。

 さも当然というように受け取って、学校の中へ入っていくリンちゃん。

 【お嬢様と執事】度合いが日に日に増している気がするのは、私だけ?

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