9月27日 ぶつかる日

「ほら、前と間が空いちゃってるから早く歩いて!」

 そう声を掛けても、四年生トリオ(りん、カンナ、このみ)は全く動じず、ゆっくりとおしゃべりしながら歩いてる。

 彼女たちとは仲がいい反面、おじさんの言うことなんか聞かなくなってきてるからなぁ。

 と思っていたら、

「いてっ!」

 振り向くと、カンナちゃんが電信柱にぶつかって肩をうったらしい。

「よそ見してたら、ぶつかっちゃった」

 へへっ、と笑っているから大したことはないんでしょう。

「もう。気をつけて歩きな」


 と注意をしてたら、今度は列の前の方が立ち止まっている。

 行ってみると、一年生のユウタ君が道に腹ばいになって固まってた。

 どうやら、雨上がりの道に滑って転んだらしい。

「大丈夫? 怪我はしてない?」

 起こしてあげて様子を見ると、膝や手を擦りむいた様子もない。

「じゃ、行こう」

 とユウタ君の右手を取って手を繋いで歩きだすと、ゆっくりと左手を開いて見せてきた。

 そこには血が……。

「あれっ? ――鼻血?」

 黙って頷くユウタ君。

 地面に鼻をぶつけていたようだ。

 慌ててティッシュを取り出してユウタ君に渡し、学校まで鼻を押えながら行きました。

 みんな、気をつけて学校へ行こうね。

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