168話 おかえり、しゅらば、おいわい


 アリエルさんが魔導士として戦う理由を聞いた後、元の約束通りに彼女の案内でオリアム・マギフランス支部のある建物へと戻って来た。


 道中、通りすがりの人達に見せつけるように、アリエルさんは俺と腕を組んで歩いていた。

 物凄い針の筵だったし、もしこの光景をクロエさんやゆず達に見られたら、どうなるか分かったもんじゃないので、非常に冷や冷やしていたが、どうやらゆず達は中にいるようだった。


「やっと見覚えのある景色が見えると、ホッとしますね」

「そうですわね……」


 俺が安心感を抱いたのとは対照的に、金髪のウィッグを外して、本来の白銀の髪を露にしたアリエルさんは、どこか気落ちしているような声音だった。

 それは、何が原因なのかは何となく察した。

 さっき知ったアリエルさんが魔導士として戦う影響の一端でもある、自由の無さ……俺を案内するためとはいえ、フランス支部の中に入ってしまえば彼女の極限られた自由時間が終わるのと同義だ。


「フランス支部のいざこざが片付いたら、アリエルさんの時間も出来ますよ」

「どうでしょう……きっと支部の立て直しに奔走して、結局変わらないような気が致しますが……」


 何だか歯切れが悪いな……。

 アリエルさんだけしか抱いていない不満でもあるのだろうか?


 そう思っていると、アリエルさんは神妙な面持ちで俺の顔をじっと見つめていた。


「……リンドウ様、一つだけお尋ねをしてもよろしいでしょうか?」

「え、いいですけど……」


 何を聞くつもりなのかは分からないけれども、アリエルさんにはフランス支部まで案内してもらったし、彼女の身の上まで聞いてしまった。


 その問いには答えないといけないだろう。


「リンドウ様は……神様は何故人を救われないと思いますか?」

「え?」


 それはあまりに予想外な質問だった。

 神を信仰する修道女であるアリエルさんが神の所業を疑うなんて思ってもみなかったからだ。

 聖職者らしからぬ不信発言を垣間見た俺の反応がおかしいのか、アリエルさんは微笑ましい笑みを浮かべる。


「そのように驚かれるのも無理はありませんが、そんなに深い意味はございませんわ。例えリンドウ様が無宗教者であろうともワタクシは一切咎めません」

「は、はぁ……」


 ならどういう意図があるんだと訝しながらも、俺は神という存在に対する考えを浮かべてみる。

 全知全能だとかよく言われてるけれど、俺は……。


「俺は……神様は、人だけを救うわけにはいかないんだと思います」

「!」


 浮かんだ答えをそのまま口にすると、アリエルさんは一瞬だけ目を見開いたように見えたが、すぐに平静を取り戻してジッと俺と目を合わせる。


「――何故、そう思われるのでしょうか?」


 不信発言だと憚れてもいいはずだったが、アリエルさんは責めるわけでもなく純粋に聞き返してきた。

 正直に答えないといけないと思い、ゆっくりと言葉を紡ぎながら口を開く。

 

「なんて言うか、全知全能の力があるからってそれだけに縋るのは違うっていうか、その神様はきっとお願いを聞いて叶えるということが簡単に出来ないんじゃないかってことで……」


 俺が話している最中にも、アリエルさんは相槌すら挟まない。

 それどころか聞き入っている様子だった。

 なんだか油断出来ない緊張を感じつつ、俺は続ける。


「……スケールはが違いますけど、急いでる人が道に迷ってる人に手を差し伸ばさないみたいに、やらなきゃいけないことが多い神様は、毎日祈って救いを願う人だけに構っていられないと思います」

「……」

「もちろん、俺なんかじゃ神様の考えなんて知る由もないです。むしろ知ろうとすること自体が烏滸がましいって思うかも知れないですけど……」


 そこまで言って、俺は一度言葉を区切る。

 

「いるかどうかも、手を差し伸べるかも分からない相手に頼る前に、俺は自分で出来ることをやり切って、情けないですけどそれでも届かないならゆず達の手を借りることも厭いません。俺の中では神様なんかより皆の方がよっぽど頼りに思いますよ」

「それでは、リンドウ様はナミキ様達との縁こそが神様の救いだと仰りたいのでしょうか?」

「……んー、それも違うと思います」

「え?」


 アリエルさんの結論に異を唱えると、彼女はどういうことかと目をぱちくりとさせた。


「神様の救いっていうのは、あくまで〝切っ掛け〟なんだと思います」

「切っ掛け、ですか?」

「俺の場合、男なのに魔力を持って生まれました。魔力がなかったら唖喰は見えませんし、こうしてゆずの日常指導係になることも、フランスに来てアリエルさん達と会うこともなかった」

「あ……」


 アリエルさんは納得がいったというように、小さく息を吐いた。

 この先で俺が言わんとすることも分かったのかも知れない。

 そう思いつつも、俺は自分の考えをまとめる。


「『切っ掛けは与えたから、後は自分で好きにしろ』なんて無責任な気もしますけど、今ここにいることも含めて俺は何一つ選ばされたわけじゃなくて、自分で選んで来た道のりだって信じてます」

「自分で、選んで来た道のり……」

「?」


 ふと、一瞬だけアリエルさんの瞳にある感情が垣間見えた。

 それは焦がれるように、自身にない物に抑えられない劣等感……〝羨望〟だ。

 

 どうしてアリエルさんが俺に羨望するような感情を向けたのか、それは彼女が今まで選んだ道のりは、大人から与えられた選択肢から選ぶしかなかったからだろう。


 そんなアリエルさんはスッと瞑目して、何かを熟考し始めた。

 時間にして十秒程でアリエルさんは目を開いて、まっすぐに俺を見据えた。


「リンドウ様のお考え……確かに拝聴させて頂きました」

「えっと、何か役に立てましたか?」

「ええ、リンドウ様らしいお答えだと思いますわ。いくつか不信発言が出ておりましたが」

「っう!?」


 確かに色々神様を貶すような言い方はしてたけど……べ、別にウチは無宗教だし、問題ないだろう。

 俺が内心でそんな言い訳を浮かべていると、アリエルさんはクスクスと笑った後でにっこりと微笑んで……。


「……リンドウ様のおかげで今日の外出は、いつもより楽しかったですわ」

「……俺も楽しかったですよ」


 今さっき話に出て来た神様ですら見惚れるような笑みを向けられて、胸の高鳴りを抑えることが出来なかったことは仕方がないだろう。

 あの過剰なスキンシップや神の救いに関して話したりとしたものの、振り返れば案外楽しかったりしてる。


 スキンシップに関してはもう少し頻度は減らしてほしいとも思うけど。


「ええ……初めて男性とデートをしましたが……それがもうすぐ終わってしまうのだと思うと、なんだかいつもの自由時間が終わる時に比べて、一層切なさを感じておりますの……」

「え……」


 寂し気に零れたアリエルさんの言葉に、俺は一瞬呆気に取られた後、ボンッと熱が灯ったように体が熱くなった。


 いやいや、勘違いするな……。

 アリエルさんは初めてのデートが終わるのが切ないのであって、俺に対して特別な感情はないはずだ。


「え、映画を観る前にもそう言ってましたけど、縁談で顔を合わせた時に出歩いたりしなかったんですか?」

「縁談と言いましても、あくまで子供同士の婚姻の話です……所定の場所で互いに顔を合わせて多少会話を交える程度で、常に親が同伴していましたわ」


 ああ、そうか……。

 縁談をいくつもこなしたのは、アリエルさんが十歳から十二歳の頃の話で、相手もそれに近い年齢のはず……上流階級の御曹司と令嬢だけで外を歩いていたら、身代金目的の誘拐に遭うかもしれない。


 そうならないように、親が同伴した上で、高級なレストランとかでお見合いになる訳だ。


 閉鎖的な生活を強いられたアリエルさんにとって、数少ない異性との交流経験が室内だけとなると、確かに俺と過ごした今日が彼女の初デートになっても仕方ない。


「そうですか……なら、アリエルさんの初デート相手になれたのは光栄ですね」

「いえ、こちらこそ経験豊富なリンドウ様のエスコートには、大変感謝していますわ」

「あーははは……」

 

 ほとんどアリエルさんに振り回されていたような感じだったが、彼女がそう言うのであれば、特に否定せずに曖昧に流した方がいいのか?


 そんな話を終えたところで、そろそろフランス支部の中に入ろうと入り口に顔を向けて――。




 ハイライトが消えた瞳をしているゆずと菜々美さんと目が合った。




 ……。


 いつからだ……?

 一体、いつからゆずさんと菜々美さんは俺とアリエルさんの会話を聞いていたんだ?


「司君……」

「……はい」


 抑揚の無い冷えきった声で、俺の名前を呼ぶゆずさんに、冷や汗を流しながら続きを待つ。


「アリエルさんとのデート……楽しかったんですよね……?」

「……」


 完全に言い逃れ出来ない部分を聞かれていた。

 言い逃れも何も、スマホ充電と魔導器の魔力補充を忘れていたのがそもそもの原因なんだけどな。


「司くん……どうして何も言ってくれないの?」

「ご、ごめんなさい……」

「違うよね? 私達が聞いているのは、アリエルさんとのデートが楽しかったかどうかで、謝罪を聞きたい訳じゃないの……」

「は、はい……」


 菜々美さんの声も普段の優しい声音が暗く沈んでいる。

 冷や汗に加えて、悪寒も感じ始めた。

 凄まじいプレッシャーによる、重苦しい空気が周囲を支配している。


「さあ、司君……アリエルさんとのデート……どうだった?」


 おーぅ……。

 ゆずさんの口調がタメ口になってる……。

 やばいな……かなりキレてるよ……。


「た……楽しかった、です……」

「……そう」


 アリエルさんに言った感想と同じく、ゆず達にもアリエルさんとのデートの感想を伝える。


 それに対してゆずさんは一言ぼそりと呟いた後、俺の顔をまたじーっと見つめて……。


「次のデート……覚悟してね……?」


 素晴らしい笑顔で宣言するゆずさんに、俺は無言で首を縦に振るしかなかった。


「明日のデート、ちゃんとエスコートしてほしいなぁ……」

「ご、ご希望に添えるよう、尽力します……」


 菜々美の笑顔も同様の圧を感じる。

 そりゃそうだよ。

 明日デートする相手が前日に別の女性とデートに行ってましたなんて、許せないに決まってる。


 一方、さっきまで俺と向かい合っていたアリエルさんはというと、事の成り行きを傍観していた。


 しかも、口元を両手で押さえてニヤニヤしていることから、笑いを堪えるのに必死なのは明らかだった。


 おい、他人事だと思って笑ってる場合じゃないだろ。

 アリエルさんも漏れなく当事者じゃねえか。


「申し訳ございません、ナミキ様、カシワギ様。リンドウ様はワタクシの我が儘に付き合って下さっただけですわ」


 今さら過ぎる擁護をするアリエルさんに若干思う所があるものの、俺の責任を少しでも軽くしようと進言してくれるのは確かだ。


「僭越ながら忠言させて頂きますと、お二人の気持ちは同姓として共感は出来ますが、あまり過剰に反感なさってはリンドウ様にご迷惑ですわ」

「「う……」」


 嫉妬と羨望を露にする二人は、アリエルさんの忠言が図星だったのか、気不味そうに眉を顰めた。


「別段、お二人の独占欲を否定する訳ではありません……ただ、何事も過ぎてしまっては不用意な諍いと確執を生み出してしまいます。リンドウ様を想うのであればこそ、彼のお心を慮るべきですわ」

「「は、はい……」」


 二人の気持ちを尊重しつつ俺との仲を崩さないよう、聖職者らしいアドバイスを聞いて、流石は手慣れているなと思った。


「えっと、ありがとうございます」

「いえ、今日のデートを通して、リンドウ様がお二人に慕われる一端を拝見させて頂きましたので、彼女達の気持ちはよく解りますわ」

「は、ははは……」


 これまた流石というか、アリエルさんは俺がゆずだけでなく菜々美さんからも好意を寄せられていることを悟ったようだ。

 多分、かなり早い段階で気付いていたんじゃないだろうか……ノートルダム大聖堂の塔の中で会話をした時とか。


「あ、あの、不躾かもしれないんですけど……アリエルさんは司くんのことをどう思っているんですか?」

「リンドウ様ですか?」


 アリエルさんの態度に何かを感じ取ったのか、菜々美さんが彼女にそう尋ねた。


 それに対してアリエルさんは、ニコニコと同姓の菜々美さんが頬を赤くする程の笑みを浮かべて答えた。


「そうですわね……とても紳士で、興味が尽きない面白い方だと思っておりますわ」


 紳士と語ってくれたことは嬉しいのに、後半の興味が尽きないという部分に言い様のない不穏な感じがするのはどうしてだろうか?


「えっと、じゃあ、恋愛的な心情は無いってことですか?」

「ええ、そうなりますわ……

「「「え……?」」」


 あれれ~?

 今さらっと嫌な予感が的中してなかったかな?

 今は友情だけど、今後は恋愛感情に発展するかもみたいなことを口走ったように聞こえたんですけど……?


 アリエルさんの発言に、俺だけじゃなく、ゆず達も絶句していた。


「うっふふふふ……」


 そんな俺達の反応が面白いのか、にやけ顔が抑えられずに口端がひくひくとつり上がっているのを見て、彼女の悪戯の一環だと理解出来た。


 信じられるか?

 さっきゆず達に感心する程のアドバイスを送った人と同一人物なんだぜ?


 人の慌てふためく姿を見て笑う人が、現代の聖女なんて呼ばれてるんだぞ?


 そんなしてやったりな表情すら、思わず見惚れる程の可憐さを感じさせるもんだから、美人はずるいと思ってしまう。


 当然、そんな感情を抱いてしまっては反論がすぐに出てこないため、どうしたものか頭を悩ませていると……。


「リンドウ・ツカサァァァァァッッ!!」

「ヒィッ!?」


 地獄から這い出て来たかのような怒号に肩を揺らして驚く。

 

 やっべぇ……俺が誰と行動を共にしていたのかもっと真剣に考えておけば良かった。


 俺の帰りが遅かったってことは、俺と一緒に行動していたアリエルさんの帰りも遅くなる。


 そうなると黙ってない人が居たんだった。


 ダークブラウンの髪を王冠のように編んだ特徴のある髪型と、紫色の切れ長の瞳が激情によってより鋭い眼差しの女性……アリエルさんの従者であり幼馴染みでもある、クロエさんが俺に詰め寄って来た。


 アリエルさんの美貌が突出して隠れがちだが、クロエさんもかなりの美人だ。


 白のブラウスに茶色のスキニーパンツという男装令嬢のようにも見える装いではあるが、それでもクロエさんが持つ魅力が十分に引き立てられていると思う。


 そんな彼女は……大変お怒りだった。


 ただでさえ男嫌いなのに、敬愛する主が男と二人で外出してたとか、確かに怒りを抱いても仕方がない。


「貴様、アリエル様と、でで、デートなど、一体どういうつもりだ!?」

「ど、どういうつもりも何も、ただ映画を観ただけで至って健全なデートですけど……」


 激しい剣幕で俺に詰め寄るクロエさんにデートの内容を簡潔に伝える。


 もちろん、アリエルさんから頻繁に仕掛けられたスキンシップは隠す。

 

 知られたら物理的に首が飛ばされるからな。

 

「健全な内容で結構! だがワタシが言いたいのは内容ではなく、アリエル様とデートに行った事実だ! アリエル様と映画なんて……ワ、ワ゛ダジです゛ら゛い゛っだごどがな゛い゛の゛に゛ぃぃぃぃっ!!」

「す、すいません……」


 単にクロエさんがデート相手としてカウントされてないだけでは、とも思ったが怒りから一転して泣き出したクロエさんを見て、無性に申し訳ない気分になる。


「クロエ、心配を掛けてしまって申し訳ありませんわ」

「いえ、アリエル様が謝られるようなことはありません。従者として当然のことです!」


 アリエルさんの謝罪に、クロエさんは一瞬で泣き止んでアリエルさんにそう返した。


 そういえばクロエさんはアリエルさんに仕事を押し付けられていなかったっけ?


 仕事のことと、抜け出して映画を観たことに対して特に言及はないので、クロエさん的には気にしていないのか?


「つ、司君……あの、本当にアリエルさんには何もしていないんですか?」

「さっきのあれは、冗談なんだよね……?」

「大丈夫だよ、二人が心配するようなことは何もないから」


 ようやく復活したゆず達の質問にも同じように答える。

 俺何もしてないので、嘘は言ってない。


「あ、ツカサさん! 先程は先に帰ってしまってすみませんでした!」


 ゆず達に説明を終えると同時に、今度はルシェちゃんが出てきた。


「心配掛けてごめんな? でもアリエルさんに道を案内してもらったからもう大丈夫だよ」

「そんなんですね、本当に良かったです……」


 アリエルさんと映画を観る前に一緒に食事をしたルシェちゃんは、アリエルさんの叔父で、フランス支部の支部長でもあるダヴィド支部長に電話で呼び出されたため、先にフランス支部に戻っていた。


 それから俺の帰りが遅かったため、彼女にも心配を掛けてしまった。


 そう思って謝ると、ルシェちゃんは心底安堵した表情を浮かべた。


「ルシェアちゃん、あの事は?」

「あの事?」

「あ、そうです!」


 話が一段落したところで、菜々美さんがルシェちゃんに〝あの事〟とやらを尋ねた。


 俺には何が何だか分からないが、ルシェちゃんはハッとした様子だった。


「ダヴィド支部長から、ボクが今の調子で成長すれば、将来的にアリエルさんの側近を任せられるって、言われたんです!」

「えっ!?」


 辛抱堪らないといった風に喜びながら告げられた内容に、俺は大いに驚いた。


 ダヴィド支部長が言ったこと……それはルシェア・セニエという少女の夢である、アリエルさんの役に立って彼女を支えたいという想いが届いたことを意味していた。


 支部長から直々の言葉は、彼女の夢が叶う寸前まで大きな前進となったことになる。


 当然、ルシェちゃんは大喜びだ。

 俺も彼女の夢が叶うことを願っていたため、本当に嬉しく思える。


「まぁ、そうなのですね! 貴女のように明るい人が支えて下さるなんて、頼もしいですわ」

「ワタシが教導係を務めたから当然とはいえ、他ならないルシェアの努力があっての結果だ。教導係として誇らしいぞ」

「アリエル様……クロエ様……!」


 アリエルさんとクロエさんという、ルシェちゃんが尊敬する二人から称賛の言葉を送られ、彼女は感極まって目端に涙を浮かべた。


「私達も、ルシェアさんの友人として彼女の努力はよく知っています……本当に良かったです」

「うん、夢が叶って良かった」


 先に知っていたゆずと菜々美さんも、改めてルシェちゃんに称賛を送る。


 なら、俺からも言わないといけないな。


「ルシェちゃん」

「ツカサさん……」


 ルシェちゃんと向き合い、彼女の青髪の頭に手を置く。


「ちゃんと叶えることが出来て良かったよ。遅くなったけど、おめでとう」

「――はい、ありがとうございます……ボク、とっても嬉しいです!」


 そう答えたルシェちゃんの笑顔は、太陽のような輝きを放っているように思えた。

 

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