エピローグ:報告書No.■■■2477

>>>報告 コード:20077

神食かんばみ候補、銃夜について、一連の事件から考察した結果について】


>>ひとまずの結論として、【O-1】こと大宮銃夜が神食であるという予測は、完全に否定された。

 まず、彼は神に対する食欲を有していない。更に調査の結果、大宮家鋸身屋が彼を隠した理由は、彼の稀人たる異常な異能力の素質であることがわかった。


 鋸身屋はその思考の古さから、先に生まれた自分達が先に生贄に出されることを恐れて、本来は最優先に生存させるべきである銃夜を隠し、年齢順の当主候補制を作り上げたようである。もし銃夜が正常に、珠夜と共に生きていた場合、裸女家、樒家、君影家により、銃夜の兄三名は全員、幼い頃には殺されていただろう。


 また、観測器「天津」が出した大宮銃夜が神食であるという予測結果は、彼の稀人としての体のせいだろう。既に彼は生まれた時から、神を食った後の様な、異常な素質を持っていた。これは我々、人類には未だ理解しえない領域の話である。神食を実際に行って発動したわけではないだろう。



>返信 コード:20087

では、彼が【SCS】の本体を食らい、その身に全てを宿した理由を説明してください。

SCSが荒魂あらたまであった可能性は無いでしょうか。



>返信 コード:20077

それについては調査中である。しかし考察はあるが、報告すべきだろうか。



>返信 コード:20087

何についても、思ったことがあれば、私に説明してください。

君にはその義務があります。


追伸:それと上司にくらい敬語を使っていただきたいのですが。



>返信 コード:20077

了解した。


【O-1大宮銃夜のSCS樒扇羽に対する捕食活動に関する考察】

 第一の調査として、樒扇羽は荒魂ではないだろうと思われる。彼は彼自身が独白した通り、死産児であった日宮扇羽に、日宮支族の人々の式神を貼り付けた人造人間である。

 第二の調査として、大宮銃夜の属する、宮家は、カニバリズムを習慣的且つ、衝動的に行う本能があるようだ。これは宮家全体の調査でわかったことであるが、彼等は皇族と同じく、鬼の血を強く有する。その為、同胞、または恋愛感情に近いものを抱いた相手は、衝動的に捕食し、その身の一部にしようとするようだ。


 第一の調査から、まず、樒扇羽は荒魂であることはほとんどないだろう。もし仮に日宮扇羽がそうであった場合、死産ではなく、母体と双子の姉である臨零の死亡で済むはずである。

 更には第二の調査から、大宮銃夜が、扇羽の捕食を神食の本能として行ったとは、あまり考えるに至らない。

 しかし、樒扇羽が行った銃夜の修復処理によって、捕食そのものが完了していたと考えるならば、大宮銃夜の捕食活動は不自然とも言える。


 そのため、彼の調査及び研究の続行は、神食である可能性の有無に関係なく、必要だと考えている。


追伸:俺の方が先輩だバーカ。



>返信 コード:20087

理解しました。

追調査と研究続行については、私から評議会へ持ち込んでおきます。

君は私が辞めろと言うまで、調査と報告を続けてください。


追伸:脳味噌ミシャクジサマに食われれば良かったのに。

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