早死に生徒達はチート生活を望む
鈴ヶ森あゆみ
第1話 最高神!その名も!おっちゃん
「てなわけであんた死んだんだよね」
「へぇ~」
「……完全に冷めてるわね、一応死んで、女神様の目の前にいるんだからもうちょっとリアクションをさぁ」
「いや前の人生はあんま面白くなかったから、ていうかどういう過程で僕は死んだの?」
あんまり記憶にないなぁ、僕が死んだときの記憶、死んだショックで一時的に記憶が抜けたのかな?
「期末テストっていうの?それやってる最中に弾丸が飛んできたからあんたは避けたけど、その前に当たった前列の生徒に直撃して気を失って、それならまだ良かったけど保健室に運ぶ最中に先生が手を滑らせて、階段から転がり落ちて死んだのよ」
ロクな死に方してないなぁ、僕。
「てなわけで天国生活がんば
その時、自称女神様は後ろにいたおじさんに頭をチョップされてました。
「なーにが天国生活がんばれだ、サボりたいだけだろお前」
「ちょ、なに?いきなり何なのよ」
「いやぁ~すいません、娘が無礼を」
「あ、いえ」
何者でしょうか?この自称女神様が娘ってことは、お父さんって事?
「あ、挨拶が遅れました、わたくし、こいつの親父こと、最高神です、気軽におっちゃんって呼んでください」
「あ、僕は雪代千冬って言います」
「ゆきしろちふゆ、ね、中性的な顔だから、そういう名前にしたのかな?顔に似合う名前を付けられる親はすごいねぇ、まるで未来を見てきたかのようだ」
「は、はぁ」
最高神って言う割にはすごく軽いなぁ。
「まぁ、ロクな死に方しなかったのと、前の人生では悲しい過去背負っていたからね、一旦転生して、そこからもう一度やり直してみたらどう?チート能力あげるからさ」
「え?いいんですか?」
「そりゃあ自分最高神だもん、1度や2度転生させるのなんて朝飯前さ」
やっぱり最高神はすごい、あのノリの軽さもまるで1つのカリスマみたい、しかしどんなカリスマを持ってしても、たとえそれがすごい神さまだったとしても。
「ちょっと買い物行ってって言ったでしょ!なに娘の仕事奪ってるのよ!」
最高神も、奥さんには敵わないようです。
少し経って、最高神はこちらに背を向けたまましゃがみ込んでました、よっぽどショックだったようです。
「神さま?あなた神さまの中の神さまの最高神じゃないですか、なに奥さんに屈してるんですか」
「我、神や民衆を導くものなり、人間の生活や関係が最高神一家と似ていてもなんらおかしなことは無い」
「最近お父さんの威厳が年々失われているのはあなたが原因だったんですか!?」
「だってさ、最近はさ、娘と話す機会も減ってさ、洗濯の時も自分の下着と一緒に洗いたくないとか言ってさ、こういうのって反抗期っていうの?でもさ?幼いころはもっと可愛かったんだよ?」
聞きたくないです、お父さんの本音。
ていうかそれは反抗期じゃなくて思春期です。
「まぁ、とりあえず、異世界転生するって事でいい?」
今にも泣きそうな声で言ってくるとこっちまで泣けてきそうです、とりあえず転生しますよ。
「それじゃあ、案内役として娘のアフロを連れて行きなさい」
「ふぁ!?」
女神様は驚いた顔をしています、そらそうですよ、だっていきなり異世界転生しろなんて普通驚きますよ。
「ほら、可愛い子には旅をさせろって言うじゃん?それに前から下界覗いて私も異世界転生したいって言ってたじゃん、チート能力底上げしておくから、死ぬことはまず無いでしょ」
身内に異世界転生させるのは朝飯前なお父さんがいるのにそんなこと言ってたの?しかし当の女神さまは諦めたように溜息ついて黙り込んでました。
「もうわかったよ、行けばいいんでしょ行けば」
「それじゃあチート能力をあげるよ、千冬君には最強の戦闘能力を、アフロには膨大な魔力をやろう」
そういえばアフロってアフロディーテのことですよね?転生先でトロイア戦争起きたりしませんよね?
「ところで、最強の戦闘能力って言っても、具体的にはどのくらい強くなったんですか?」
「前の世界で「りきし」っていう人たちがいたでしょ?そのぐらいだったらデコピン一発で月まで届くよ」
わー、新しいクレーターが出来そうだぞー。
「ちなみにアフロに与えた魔力は、君の元居た大陸とアメリカ大陸の間の海を、最大で24時間割り続けることが出来る」
アフロディーテからモーセに変わった瞬間である、いや、モーセでもそこまでできないはずですよ。
「それじゃあ、準備は整ったし、異世界に行ってらっしゃーい、あ、あと言葉は伝わるけど、文字は元居たとこと結構違うからねー」
わかりました、それではいってきまーす。
というわけで異世界に転生しました、どうやら僕達たち草原で寝ていたようです、そしてさっきからずっとアフロさんはだんまりでう、失礼、だんまりです。
「アフロさん、そろそろ起きてください、近くの町に行きますよ」
「なんか…思ってたのと違う」
へ?
「なんか、いざ転生ってなると不安がいっぱいなんだけど、なんなの、この気持ち」
まぁ、確かに、異世界転生って不安とかがいっぱいだよね。
「帰りたい、これがホームシックってやつ?」
いやホームシック速すぎですよ、まだ5分も経ってないんですよ、ていうかせめてこっち向いてくださいよ、目合わせて会話してくださいよ。
「ていうか僕たちの場合、死んだらさっきの場所に行くこと分かってるから、そんなに不安になることはないでしょ?」
「死ぬってさ、痛いことだよね」
「んまぁ、ある意味周りも痛くなりますよね、死ぬ本人もですけど」
「優しく殺して!優しく殺して!」
どこかの総統みたいなこと言いだしたんですけど、15,6歳ぐらいの女の子が身動き1つもせず不謹慎なこと言いだしてるんですけど!
「と、とにかく、まずは動かないと始まりませんよ、近くに町があるようなので向かいますよ」
「……て」
「へ?今なんて?」
「今日、一緒に寝て、一人は怖い、だから一緒に寝て、じゃないと私、ここで死ぬ」
「寝ますから、一緒に寝ますから起きてくださいよ」
「うん」
しかし、異世界転生って思ってた通り、文明の利器が中世時代のものなんですか、いかにもファンタジーって感じです。
「ていうかさ、ほんとに私達能力貰ったのかな?」
「あ、確かに、気になりますね、街に言ったら試してみましょう」
10分歩いて、近くの町に着きました
「しかし、着いたはいいものの、これからどうしましょう、異世界だからお金とかはまた別ですよね」
「確かに、まずはギルドとか行って、クエスト受けますか」
すると、近くで騒ぎが起きている音が聞こえました、何かあったのでしょうか?行ってみましょう。
「へっへっへ、それじゃこいつはもらってくぜ~」
「誰かその人たちを捕まえてください!」
「そいつ盗賊よ!」
あ、早速来ましたか、それでは一発喰らわせてやりましょうか、しかし、1回殴っても、ぺし、と音を立て全然効いてませんでした。
「え?なんで?」
「あ、まさか親父のやつ!」
死ぬ、これを喰らったら死ぬ、殴られて、死んで、終了、チート能力も使えず、死ぬ、しかし、アフロさんは生きろと道を記してくれました、アフロさんの軽いデコピン一発が、まるでボクシング世界チャンピオンの本気の一発と何ら変わらないような力が働き、盗賊は50メートル位飛んでいき、2人の女の子の目の前に倒れました。
「な、なんだ、いまの...」
「これは返してもらいます」
「こいつどうしてやろうか」
怒り心頭しています、でもそうですよね、舐めた態度だった上に窃盗を働いたんですから、と、2人がこっちにやって来ました。
「あの、さっきはありがとう」
「おかげで大事なものを取り返せました」
「いや、礼には及ばないよ」
しかし、なんでおっちゃんからもらったチート能力が使えないの?
(いやー、ごめんごめん)
お、おっちゃん!?
(能力、逆に与えてたみたい)
え?つまり僕が使えるチート能力って。
(アフロにあげるはずだった膨大な魔力だね)
つまり僕がモーセになったということ?
(意味合い的にはそうだね、まあ、お詫びに願い叶えてあげるからさ)
「親父、もちろん叶えるお願いは1つだけじゃないよね?」
アフロさんにも聞こえてたんですか。
(ん、まぁ、そうだね、1つじゃないよ)
戸惑ってます、ものすごく戸惑って面倒くさくなりそうな感じになってます。
「ねぇ、なにコソコソしてるの?」
「この人たちも怪しい人なの?」
いきなり言われてびっくりしました、でもそうですね、お礼言ったら周りからはただの独り言いいだすおかしな人たち(?)なんですし。
「あの、すいません、僕たちこの町に来て間もないんですが」
「なら私達についてきて、私達の家に案内するから」
「ありがとうございます」
少し歩いて、町の通りを外れて少し小さな家に着きました、二人暮らしにはちょうどいい大きさの家です。
「さ、中に入って、お茶入れるから」
「おじゃまします」
「おじゃまします」
靴を脱ぎ、片隅に置いたところでリビングに案内されました。
「さ、座って」
「失礼します」
下座についてから、紅茶とビスケットがテーブルに置かれて、話を切り出してきました。
「改めて、さっきはありがとう、私はアイリス、それでこっちはフィリア、よろしくね」
「よろしくおねがいします」
「僕の名前は雪代千冬です、こちらこそ、よろしくおねがいします」
「私はアフロディーテ、千冬からはアフロって呼ばれてる、よろしく」
「雪代千冬?変な名前ね」
「そりゃ、東方の人間だもの、変な名前だと思うのは納得ですよ」
「東方?それってつまりジパングの出身!?」
ジパング、たしかマルコ・ポーロが黄金の国と記したんだっけ?さては東方見聞録でも読んだね。
「あの、すいませんお二人とも、それには少し間違いがございますのでどうかその情報が載った本を焼却していただけるとありがたいのですが」
黄金の国なんてそんなお伽話あるわけがない、そんなのただ国土面積の割に少し多く取れるだけ、金の価値なんてその時は知らなかったんだから、ここはショックを与えないように真実を教え、なるべく優しくしなくては。
「本?いや、私達はあれで調べたけど?」
フィリアさんが指をさした方を見てみるとそこには、ノートパソコンが置いてありました。
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