第19話 神帝暦645年 7月23日
うーーーん。これは普通の
「おーーーい。ユーリ。無茶すんなよー? そいつ、いまいち、魔法が効きにくいぞーーー?」
「そうみたいだねー!
神帝暦645年 7月23日。この日、どういうわけかわからんが、
「うふふっ。ツキト、一体、誰に説明しているのですわ? それよりも手助けしなくて良いのですか?」
「うーーーん。あれくらいユーリひとりでどうにかしてくれないと、お盆進行をあとに控えているD級冒険者としてはダメだと思うんだよな。まあ、どうしてもピンチになったのなら、手助けするけどさあ。でも、まだ
四元魔法において、火と水の魔法は反発しあい、そのふたつの魔法が混ざり合うと、最悪、爆発が起きてしまうのだ。今の
「うふふっ。そうですわ。ですから、私がお手伝いできることと言えば、ユーリ自身に
「まあ、いつもの1.5倍は動きにキレがでるから、それで支援としては充分なはずだしなあ。モンスター相手にユーリひとりで闘うことを経験するのは悪いことじゃないし。それにユーリとしても手を出されるのは嫌だろうしさあ?」
「弟子想いのお師匠さまですことね。でも、本当に手伝わなくて良いんですか? あの
まあ、アマノの言う通り、
「うわーーー! 足に絡めとられたーーー! むむー。
あっ。ユーリがついに
「うわーーー! この
まあ、勉強料と思って、
「うふふっ。ユーリ。そこは
「うんーーー! ありがとう、アマノさーーーん! 大地と大空に、あまねく水の精霊たちよー! あたしの想い通りに逆巻く水へと生まれ変われーーー!
ユーリが詠唱を唱え、水の魔法を発動するわけである。ユーリは今、水着姿のために呪符を身に着けているわけではなかった。だからこそ、発動までに時間はかかるモノの、詠唱の文言をきっちりと唱えているわけである。
「アマノは甘いなあ。あれくらい、自分で考えさせたほうが良いと思うんだけどなあ」
「まあまあ、良いじゃないですか? さすがに初めての戦闘で、舞い上がっている部分がユーリにはあるのですわ。そこを上手く指導するのも、師匠の務めと言う所ですわ?」
まあ、アマノの言うことも一理あるな。何でもかんでもやらせてみるってのも悪くはないが、闘い方の指導もするところではちゃんとするって言うのは、正論だ。それに、
よっし。ちょっくら、師匠らしく、ユーリに助言するか。
「おい、ユーリ! 殴打用の武器ってのは、一見、軟体動物には効かなさそうに見えるが、着実にダメージは入っているからな? とにかく、同じ場所を打撃してみろ! あと、しっかり距離を取れよ!」
「うーーーん! わかったーーー! どこを攻撃しようかなー? 足かなー? 頭かなー?」
ユーリが
「不味いですね。ユーリくん、すぐさま、右に飛びなさい!
不意に団長が大声をあげて、ユーリに
「えっ!? 団長、いきなりどうしたのー? って、うわーーー!」
ああ、ユーリが
「あらあら。
「ん? 毒がない? あれっ? なんか
「バッドステータスと言いますか、何と言いますか、ユーリの女性としての尊厳を守るためにも、ここは守秘義務を貫かせてもらいますわ?」
んんん? 何か、気になるアマノの言い方だなあ?
「まあ、毒でないことは確かなんですけど、ユーリは戦闘後、大変なことになりそうですね。まあ、これも勉強料と思ったほうが良いのかしら?」
なんだろうなあ? アマノが言いよどんでいるのがすごく気になるなあ?
「もう怒ったぞーーー! 絶対に、今晩のおかずに変えてやるんだからーーー! 大気にて遊ぶ風の精霊たちよー! あたしの
おお。ユーリが
「ユーリ! 今だ!
「うん、わかったーーー! 風の精霊さんたち、もう一度、あたし
ユーリがそう叫ぶと同時、
ブッシュウウウウウウウ!
おお、おお、おおお!
「はあはあはあ……。やったよーーー! ついにあたしもモンスターを討伐できたよーーー!」
嬉しそうに雄たけびをあげてやがんな、ユーリのやつ。俺もちょっともらい泣きしそうだぜ。
「うふふっ。よく頑張りましたわ。ユーリ。とりあえず、墨で真っ黒のままですと、大変なことになってしまいますわ。ちょっと、息を止めててくださいね? 大気にあまねく水の精霊たちよ。私の意思に従ってほしいのですわ。水よ、逆巻くのですわ!
アマノがユーリの身体を洗浄するべく、逆巻く水で洗っていくのである。本当、
「ありがとうー、アマノさんー。ああ、すごく気分が良いよー。でも、なんだか身体が内側からぽかぽかする気分ー。これって勝利で身体と気持ちが昂っているからかなー?」
「うふふっ。悪いことは言わないので、今すぐ、宿に戻ったほうが良いのですわ? ユーリは
ん? 何の話をしてんだ? アマノのやつは?
「アマノさん、一体、何の話をしているのー? あたしは別にって、ええ? ええ? えええーーー?」
あれ? ユーリがいきなり全速力で宿の方向へ走って行ったぞ? あっ、なんかよれよれとなって、尻もちついてやがる。と思ったら、また走りだしやがったな。何やってんだ、あいつ?
「さあ、何でしょうね? それよりも、
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