春眠暁を覚え…
カゲトモ
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今日は昨日一昨日に比べて天気が良くて気温が高くて、目蓋を閉じるとスツールに座ったままで良い気持ちになってしまう。春眠暁を覚えず、とはよく言うが本当にこう天気が良くて暖かいとつい眠たくなってしまう。日向ぼっこをしながら眠る猫の気持ちが良く分かるってもんだ。
あぁ、このまま欲望のままに眠ることが出来れば・・・十五分だけ、十五分だけ寝させて・・・
ガチャンッ!
え、今裏口開いた?
「はなちゃーん」
寝さ、寝させて・・・なんで今ミケ来るの・・・
「ちょっとお塩貸して欲しんだけどー」
持ってっていいから、持ってっていいから早く帰って・・・
「なにー? 寝てるのー?」
聞こえない振り聞こえない振り・・・
「ちょっとー、ねぇちょっとー! お仕事始まるわよー」
大丈夫大丈夫。仕込みは全部終わっているから。今更塩とか必要な準備何もないから・・・
「こらこらー起きなさーい」
やめ、やめて揺らさないで。いいからこのまま少しだけ寝かせておいて・・・
「おーいはなちゃーん」
だから、寝かせて
「ねーったら」
寝かせ
「ねーねー!」
ちょっ
「お店開けない気な「うるせぇっ」
「なんだ、やっぱり起きているんじゃない」
「起きたんだよっ! もうちょっとで気持ちよく寝られそうだったのに」
それなのにグワングワンと揺らしやがって。目が覚めるっていうより、目が回るわ。
「だめよーこんな時間に寝ちゃったら。起きられなくて店開けられないわよ」
大丈夫だって。なんかそんな気がするし。
「どんな気よ」
「うるせぇ」
こっちはすげぇ嫌な起こし方されたから気が立ってんだいっ。俺が起きられない事を心配してくれたんだろうけれど、起こし方ってもんが・・・いや、ここは素直に目を覚まさせてくれてありがとう、だろうか。久々にそんなもの見たから目が冴えて来たわ。
「何そのエプロン」
「可愛いでしょ」
可愛いかどうかは別として、今どきそんなテンプレな新妻エプロンがあるかよ。胸元がハートのエプロンなんて。
「お客様からのプレゼントなの」
「へぇ、良い趣味してんね」
顔面工事が終わっているからいいものの、オネェのミケにハートのエプロンて。ネタかよ。
「そういえばさ、俺聞いていないんだけど」
「え、何を?」
「イツキちゃんといつの間に良い感じになっていた訳」
先週の水曜日。俺、見たんだから。
「え。わっ、わわっ」
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