おくり火 ～ ある家族におきた奇跡 ～

0. はじめに

日本の旧暦では7月15日からお盆になり、夕刻に迎え火を焚（た）くのが一般的とされていたが新暦からは8月13日の夕刻から迎え火を焚くのが一般的になっている。

お盆に帰ってくる死者の魂をあの世から現世に呼び戻すための道標（みちしるべ）となるように焚く。

反対に、送り火とはお盆に帰ってきた死者の魂を現世からふたたびあの世へと送り出すために火を焚く行事である。

家庭の玄関先や庭で行われるものから、地域社会の行事として行われるものまで、さまざまな規模で行われている。

有名なところでは山の送り火としては、京都の大文字焼き、川の送り火としては、

灯籠流し（精霊流し）が広く知られる。

地方によってその由来や、行事の内容、行われる時期などはそれぞれ異なっている。

本小説は日本の何処かのとある地方の風習に基づいたものである。