第11話 正式な婚約者
「なぁに?喧嘩?楽しそうだな、俺も混ぜろよ」
そこに現れたのは、オリビアの婚約者(仮)のギルバートと。
「あれ?チェイスくんたちだっ!!」
「ギルバートも居ますね」
「ん?先生?なんか笑顔が怖いよ」
威圧を放っているリアムと、状況を理解していないシェリル率いる『アリソン』だ。
「げげっ・・・マッジかよ。神の国の次期女王じゃねえか・・・」
「え、可愛い」
ぽっと、顔を赤く染めるレイを見て、心の底から面倒くさそうに横目で彼を見つめていたノアだった。
彼女のことは、ルイの話しでしか聞いあっことがなかったが実際逢うのは、これが初めてだった。
「あれ?なんで、ノア先輩隠れてるんですかぁ?」
「バカっ!!レイ!!声がデカイっ!!」
胸倉を掴まれている状態の小柄なルイの背中の後ろに隠れていたノアだが、彼は身長が少し高いので丸見えだ。そんな、彼を面白がって声を掛けたのは、レイだった。
聞き覚えがある声に、オリビア首を傾げた。
「ノア?」
「げっ・・・クソ女顔のせいでバレたじゃねぇか!!」
「えぇー?それ、自分のせいにするんですかぁ?てか、なんでオリーブさんがノア先輩のこと知ってるんですかぁ?」
「オリビアね。コイツ、射的の試験で俺様できるぞアピールしてたのに、試験落ちたんだよ。まぁ、私は首席で卒業したけどー。」
何処か嫌味ったらしくノアの前に出るオリビアに、苛々が積もるノア。
「リーダー、コイツ撃ち殺してもいいですか?」
オリビアを指差しながら、拳銃を手に取るノアより早く腰に付けていた拳銃で彼の後頭部をオリビアは、狙った。
「はい、今回も失格」
『残念だったな』と、呟き拳銃を下ろすオリビア。
「ったく。ホントムカつくよ、アンタ」
勝ち誇った顔が尚更ムカつきに拍車が掛かる。
「あーもう!!二人とも喧嘩しないで!!てか、チェイスくんもルイくんの服離してあげて!!」
そこに仲裁に入ったのは、シェリルだった。
チェイスは、いやいや彼の服から手を離した。
「もぉー先生たちも止めてくださいよ!!」
そう言いながら、彼女はリアムの方を振り返るといつも以上に笑顔でギルバートと会話をしている彼の背中に何か黒い影が見えた気がした。
こんな街の真ん中で、大騒ぎをしていると当たり前の様に野次馬が寄ってくる。それを気にしたレイが、兄のルイにすぐに報告をした。それを聞いたルイは自分の軍のパトロールの続きをレイに頼みついでにノアも、パトロールに無理矢理連れて行く。
「はーい。先輩、パトロール行きますよぉ〜」
「ちょっ!!レイ!!てめえ!離しやがれ!!」
「はいはい。うるさいですよぉ〜」
レイは、まるで猫を掴む様に彼の襟首を掴みそのままパトロールに消えて行った。
オリビア達は、パトロール終わりだった為そのまま解散になった。ルイとチェイスは、今にも決闘が始まりそうな雰囲気だ。その間に挟まれているシェリルが、可哀想に思えてきた。
その中をオリビアが止めようとするが、後ろから彼女をギルバートが、抱き締めて離さない。
「よぉ、オリビア。逢いたかったぜ」
「ぎ、ギルバート・・・」
あからさまに嫌そうな表情を浮かばせた。
「そんな顔するなよ。美人さんが台無しだぜ?」
彼女の顎に手を添えて、顔を近付けた。そこに。
「はい、ストップ」
仲裁に入ってくれたのは、オリビアの恋人のリアムだ。
「おい、リアム。夫婦の営みを邪魔するのは野暮ってもんだぜ」
「夫婦?」
黒い笑顔でギルバートに殺気を放つ。
「おう。昨日、正式にオリビアは俺の女になった」
「「はぁっっ!???!?!?!?!」」
思わず、リアムまでが珍しく大きな声を出してしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます