無敵のアイピス

「あのこほんと何処にもいないね?

あ〜あ、アタシもっともふもふしたかったんだけどなぁ〜」


「ねえ、ネイピア?

聞いてる?」


(もうすぐよ。

あと少しだけ我慢してなさい……)


「どうしたのさネイピア?

さっきから何独り言いってんの!?」


(そろそろね。

じゃあ……)


「は?」


「ごめんなさい。

ねえラジアナ?

あなたに聞きたいことがあるんだけど

大丈夫?」


「え、何?

いつも上から目線なあんたがそんな風にアタシに聞くなんて珍しいじゃん」


「私が気付いて無いなんてもちろん思って無いわよね?

あなたがあの瞬間からラジアナでは無かったってこと」


「アハハ、ばれてたノラね。

残念」


「姿を現しなさい、アイピス!」


「おめえに言われなくてもわかってるノラ!」


『ふにゃふにゃふにゃふにゃ』

 ラジアナの身体全体がまるでプリンのように柔らかくなったかと思うと、

元のアイピスの姿へと急速に戻っていく。

 結局、元のアイピスの姿に戻るまでには40秒もかからなかった。

 


「ねえ、アイピスちゃん?

ラジアナさんをどこへやったの〜?」


「それは秘密なノラ!」


「どうして〜?」


「人数が増えるとオイラが不利なノラ」


「なるほどね。

受け答えの内容から考えた場合、

あなたの能力は防御向きで攻撃力はそれ程高くは無いってことかしら。

 だから、交代して体力を回復させながら戦われると困る。

つまりあなたは一対一サシの持久戦に持ち込みたいわけね」


「まあ、そうなノラ。

確かにオイラの攻撃力は、生物の域からは抜け出せないノラ。

だからおめえらみたいな他の5次元少女相手に深いダメージを与えるのは難しいノラ」


「そう」


「反応が薄いノラね?

普通ならここはもっと嬉しい顔するノラよ」


「だって、あなたの防御能力は不死身なんでしょ」


「理解していたノラか。

だったら話は早いノラ。

聞いて驚くノラ。

オイラは不死身なノラ。

細胞レベルで無限に瞬時に再生するから絶対に死なないノラ」

「知ってた」


「オイラが最後まで言い終える前に被せるように言うなノラー!」


「うふふ、ごめんなさい。

あなたの余裕の感じない間抜けな顔をみていたら、ついからかってみたかったのよ♪」


「キキ〜!

オイラを馬鹿にするのもいい加減にするノラー!

そう言って余裕に構えていられるのも今のうちノラよー!」


「あら、何か良い策はあるのかしら?」


「策なんていらないノラ。

持久戦ノラよ!

2対1でいいノラか?」


「いいえ、一対一さしよ!

 はっきり言うわね?

私はさっき仲間になったそこのナルータって娘の助けを借りずにあなたに勝つつもりよ」



「そんは見栄を張ってホントに大丈夫なノラ?

オイラの不死身能力は神通力を消費しないノラ。

つまり、おめえらの神通力が必要不可欠な異能攻撃に対して

その神通力が尽きるまで余裕で耐えることができるノラ。

 どうノラ?

おめえらにとって勝利は絶望的なノラよ」


「あら?

奇遇ね。

実は私の能力『完全解析』も神通力は使わないの」


「ぬぬねー!

でも大丈夫なノラ。

ネイピアだったな。

アイラ様から聞いてるぞ。

おめえの能力は作戦を考えることだけ。

だから、いくら能力の使用回数に制限が無くても、

人並みの力しかないおめえにはオイラに深いダメージを与えられないノラ」


「あら、そう思う?

あなたはずいぶん原始的な考え方をするのね。

 確かに二足歩行を始める前の人類が相手では

そうかもしれないわね。

 だけれど、

ヒトには言葉を使って知識を増やしたり

新しい道具を生み出して人力の数百倍もの仕事をさせたりすることだってできるのよ。

あなたの考えは浅はかね。甘いわ」


「うるさいうるさい!

オイラはおめえにどんな知識や道具を使われたって負けるつもりは無いノラ!」


「意見の相違ね。ウフフ残念だわ」


「何がオカシイノラ!

おめえ、いったい何を企んでるノラ?」


「ねえアイピス?

あたにはこれが何に見える?」


「それは、オイラのき……」

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