フエルマ

私がまだ10歳の頃ね、私とアイラは近所の幼なじみだったの……。

彼女の見た目なんだけど、

髪型はツインテール。

当時は白髪で体格が華奢な女の子。

あの頃から既に、聞いてる私の方が恥ずかしくなるような独特の喋り方をしていたわね。

それに、今は彼女両目を前髪で隠しちゃってるけど、

あの頃はまだ隠して無かったわ。

実はね、

アイラには私達より7歳年上で

アイラにそっくりなお姉さんがいたの。

フエルマさんって言うんだけど、

雪の様に白くウェーブのかかったポニーテールの髪型をした優しいお姉さんだったわ。

フエルマさんは、私達がまだ赤ん坊の頃から

私とアイラ二人の面倒をみてくれていたの。

私には両親は二人ともいたんだけど、

アイラの両親はアイラやフエルマさんが幼い頃に事故で亡くなっちゃって、

親戚で妻に先立たれた子供のいないお爺さんの家で三人で暮らしていたのよ。

私とアイラが12歳の頃、

アイラが家庭の事情で遠くに引っ越してしまったの。

そしてここからは、私がアイラに後で聞いた話なんだけど……。


???

「んが、んが、んが、はっくしょ~ん!

どうしてくしゃみなんて出たナリか?

誰かが我輩の噂話でもしてるかもしれないナリね。

あ、そう言えば今日は姉上の命日ナリね……」





※~以降は暫くの間アイラ視点の回想に入ります~


「父上~! 父上~!」


我輩が17歳の冬、我輩と姉上フエルマの里親のお爺さんが帰らぬ人となった。

我輩はその後、姉上フエルマに連れられ里親を探し親戚中を転々としていた。


「のう、アイラ?

さきの夫婦は感じのいい方たちじゃったが

駄目かや?」


「……、嫌!」

我輩は首を横に振ると姉の腹に顔を埋めてそうぼやくばかりだった。


「児童相談所……とかは駄目かや?」


「嫌、嫌、もっと嫌!!

姉上フエルマと離ればなれになるかもだから

絶対に嫌ナリ~!!」


「わかった、わかった。

わかったから泣くのは辞めるのじゃ!」


姉上フエルマは我輩を元気づける為にこんなことを言ってくれた。

「よし、わらわ決めたのじゃ!

ワラワは進学は辞めて働く!

ワラワとアイラ、二人で生きていくのじゃ!」


「姉上、それ正気で言っているナリか~!

姉上は国立大学の内定あるナリよね?」

奨学金ももらえるのに勿体ないナリよ!」


「大丈夫!ワラワは絶対にアイラを幸せにしてあげるからな、

楽しゅう待っておれ。

オー、ホッホッホー!!」


「姉、姉上~!」

気がつくと、姉上フエルマを羨望の眼差しで見ていた我輩は

まるで愛用の抱き枕を抱きしめるかのように、姉上フエルマに強く強く抱きついていた。














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