第127話「徒花不実(あだばなふじつ)」中編(改訂版)
第十四話「
「じゃまっ!」
白馬を駆った
ギャリィーーン!
「うぉっ!?」
彼女の進行方向に立ちはだかった偉丈夫がそれを槍で受け止める!
「
キンッ!
そして彼女の背後から斬りつけられる居合いの一閃!
「っ!」
ガキィィーーン!
直ぐさま振り返り、後方から放たれた見えぬほどの太刀筋を叩き落とすプラチナブロンドの乙女!
「ここは通さぬぞ、
ブゥォォォーーン!
ほんの一瞬だけ動きが止まった少女を、彼女の白馬ごと押し返すほどの豪槍が一振りされる!
「……」
ダッ――ダッ!ダッ!
傾斜した地面に転々と砂煙を刻みつつ……
騎士姫の白馬は斜め後方へと二度ほど飛び退いて、再び距離を取らざるを得なかった。
「…………」
先に負った傷、右手の甲を
それを庇うこと無く白刃を振るい、再三にわたり敵陣突破を試みる騎士姫だったが……
――結局は元の木阿弥
「さぁ!さぁ!一騎打ちの続きをっ!!」
「……」
――前門の”武神”
「
「……」
――後門の”剣聖”
見事に板挟みになった
――
最初こそ混乱の三つ巴になるかと思われた三者の争いは、何の因果か完全に”
「…………」
――こんなところで……足踏みしてちゃダメ
プラチナブロンドの乙女は、心中で独り呟く。
――早く”
「……さいかに”一番”必要だって言ってもらうんだ!」
そしてその窮地にも真っ向から対峙する彼女の表情には、決意の光りが集約された輝く
ダダッ!!
決意を纏った
――
愛馬を駆る
彼女の
ヒュオン!
「ぬぅっ!?」
と、同時に――
彼女によって振るわれた高速の白刃が、道を塞ぐ最強無敗の武人を襲い!その心胆を寒からしめる!
ズザザザーーッ!
間一髪!その一刀を
往路と復路!
僅か馬の数歩分の距離にて瞬時に折り返された白馬の軌跡に!
――
馬上で愛剣”
ギャリリリィィーー!!
二騎の戦士が振るう刃が交錯し、僅かに遅れてやや受けに回った
その刃渡りに激しく火花の道が弾けた!!
「ぐぅぅっ!!痺れるなぁぁっ!!
ギァリリリィィィィーーーー
――ガガッ!!
それを常識外の膂力で強引に引き剥がす、
「
ブォォォォーーーーンッ!!
そして、
周囲の空気を根こそぎ巻き込んで、乙女の華奢な胴を薙ぎ払った!!
ヒュバッ!
だがその彼女は、十倍返しとも言える轟雷一撃の一振りを!
なんとその
ヒュヒュ――ヒュォォン!!
思いも描け無い!
いや、予想できるはずの無い、超高難易度な攻防からの!ゼロ距離連撃!
“武神”
「がっ!?くぉっ!!」
ズザザザザァァァァッ!!
そして”
「はぁはぁ……今のは……流石に肝を冷やしたぞ、
丸く見開いた余裕の無い顔に汗が伝う。
大きく肩を上下に、馬上で息を切る男……
だが確かな事は、あの必殺の三連撃を凌ぐ武勇を所持するこの男もまた、噂以上の化け物であるということだ。
「…………っ」
そして一見涼しい表情の美少女は、
彼女には珍しく……
桜色の唇を僅かに歪ませて、小さく舌打ちをしたかの様に見えた。
――
いや、焦っていると表現した方が正しい。
彼女が決意して挑んだ目的を未だ果たせていないことに……
「……………………だいじょうぶ」
――
――
プラチナブロンドの美少女は豪傑達と
「
――”現在”も”過去”も
「…………わたしは”剣”」
――そう、
剣を振るうことしか無かった人生。
「でも……決してもう”人形の剣”じゃない!わたしは……私は……」
彼女が唯一所有すると自負する”剣”で!
”他人の思惑”で”彼女の全て”を犠牲にしてきて得たその”剣”で!
「……」
今度は……
――そうだよ、”未来”を手に入れるのっ!!
そしてその想いは日を増すごとに……
「……」
抑えきれぬほど溢れ、加速し――
ヒュバッ!
「さいか……あのね……わたし、わたし欲しいものがあるんだよ」
抜刀した白刃を手に、独り呟いた少女は……
――
「噂以上だ、
前門の”武神”……
「
後門の”剣聖”……
――
――けれど
加速を始めた彼女の剣と心は、そんな
「…………だから……じゃま」
既に誰にも止めることが出来ないくらいに
ヒュッ――
風を切る白刃の
だが、それはある意味で……
「
暴走と例えられる
第十四話「
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