第102話「翻意の在処」前編(改訂版)
第六十二話「翻意の在処」前編
翻意。
それは決意を翻すこと、心変わりすること。
――我が行動の結果は決して”策”であっては成らない!
――例え故国に役立つとしても、
――”裏切り”から生まれた偶然の産物
――そうで無ければ……
――
――それが全てで無くては成らないのだ!
それが
――成れば
――この”翻意”は”裏切り”として後世に残さなければ成らないのだ!
翻意……
それは決意を翻すこと、心変わりすること……”裏切り行為”
――
―
「形式張った挨拶は必要ない、それより
俺は足早に拠点に入ると同時に腰の刀を外して供回りに渡しつつ、最奥にある椅子の前で言った。
「はい!只今、
「そうか、なら程なく片が着くな」
「?」
そして、俺の言葉に若干の疑問を浮かべる黒髪ショートカット少女……
「はい、先生」
その人物は……
くせっ毛のショートカットにそばかす顔の快活そうな顔立ちの少女。
聡明そうな瞳に澄んだ叡智が見て取れる、見るからに策士タイプの少女だった。
「この
「……」
俺の意を汲み、説明する少女を怪訝な瞳で見る
「
――”
――本名、
「……」
くせっ毛のショートカットにそばかす顔の快活そうな顔立ちの少女は、少し緊張気味の表情で俺の足元に
「臨時……参謀、彼女がですか?」
そして俺の説明に……
眉間に明らかな不機嫌を現す影を落とした俺の側近、
――
あれから色々な経緯があって、
「まぁな、だがそんな事より今は目前の戦場だ。
俺は
「……はい、流石は
――まるで忠犬が主を独占する様な仕草だ……
俺は呆れながらも、そんな相変わらずな
――帰ってきた。
――俺は
「…………」
「先生?」
暫し沈黙する俺を見て、
「いや、なんでもない。それより本題は未だ
「はい、我が君……
俺の言葉に即座に反応した
「……」
俺はそれを受け取り、ざっと目を通した。
俺達、
兵で囲んで、水、兵糧を断ち、降伏を促し……時には小競り合いを行い圧迫する。
あくまで総力戦に発展せぬよう、城に籠もる
報告書を見る限り……それは先ず先ず上手く運んだようだ。
降伏する者、逃亡する者……
欲を言えばその中に……
「
――!
――おっと、そこまで望んでは都合が良すぎるか、
「ああ、良くやってくれた、さすが
俺はその声で気持ちを引き締め直し、大役を果たした側近を労った。
「勿体ないお言葉です」
俺の評価に誇らしげな笑みを浮かべた黒髪ショートカットの少女は再び頭を下げる。
――そうだ……後は
どれほどの数が残ってくれたのかは解らないが、城内はその者達に託すしかない。
――残ってくれた兵がある程度在れば、指揮官もそう易々と処分はされまい
そんな事を考えながら俺は書類から目を離し、顔を上げて目の前で
「……後は」
「…………」
黒髪ショートカット少女の大きめの瞳は不安な色を浮かべて俺を見る。
「
第六十二話「翻意の在処」前編 END
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