第26話「最嘉と二つの戦場」 後編(改訂版)
↓最嘉と壱と真琴、スリーショットです↓
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第二十六話「
「しょっ将軍!我が艦隊が後方から何者かの攻撃を受けておりますっ!」
鉄壁の防御を誇る鋼鉄の要塞を攻めあぐねる
そして、待機する後方予備艦艇が最初の半数ほどになった時、その異変は起きた。
「なに!後方に回り込まれたのか?第四、第六艦隊は何をしていたのだ!」
「いえ、違います!我が軍の左右を迂回されたわけではありません!後方から突如所属不明の艦隊が現れたのです!」
「……所属不明……だと?」
「所属不明艦艇の数はおよそ三十から四十、我が第九艦隊の最後列部隊が只今交戦中であります!」
そこまで聞いたところで、第九艦隊司令官の男の表情が僅かに綻んだ。
「三十……たったそれっぽっちの艦艇で我が
「はっ!」
虚を突かれたものの、司令官に焦る様子は無い。
そして
数の上でも質の上でも圧倒的に優位な
ヒュゥゥーーーーーー
「ん?……なんだ、この……」
ーーーーーーーーーーズドォォォォンッ!!
「っ!?」
「なっ!」
その瞬間、報告のあった所属不明艦から撃ち出された”なにか”が……
「なっなんだとっ!?」
第九艦隊司令官はその光景を目の当たりにして絶句した。
それは攻撃を受けたときの強度もさることながら、海上で最も警戒すべき”火攻め”を防ぐために有効な構造の戦艦でもあった。
それが……自慢の装甲戦艦が、いとも容易く炎上沈没していく……
「たった……たった一撃で……我が装甲戦艦が……だと……」
驚愕で目を見開いたままの第九艦隊司令官。
「……あれは……もしや……”ミサイル”?……まさかそんなっ!」
「!」
「!」
誰かがボソリと呟いた言葉に静まりかえる艦内。
「ミ、ミサイルだと?……ありえん……この
近代国家世界と戦国世界が入れ替わるこの世界ではあるが、各々の世界に存在せぬ技術は実現不可能というのが常識であった。
そこに暮らす人間の知識は共有しているとはいっても、近代国家世界での科学技術は戦国世界ではどうやっても確立しない。
それがこの世界で暮らす誰もが知る
「何故だ……なぜ”あんなモノ”を奴らは持っているのだ……」
第九艦隊は予想も出来ない既知の脅威に一気に浮き足立っていた。
ヒュゥゥーーーーーー
ーーーーーーーーーーズドォォォォンッ!!
「め、命中!沈みますっ!」
「くっ!」
そうこうしている間にも、その隣の鑑が同様に炎上して沈没していく。
「しょ、将軍っ!」
「こ、後退だ……あれでは太刀打ちできぬ……」
「……り、了解致しました」
こうして
所属不明の艦隊に包囲される味方艦艇を、数に勝る自軍で救援すること無く、我先にとそこから離脱していく。
「どうだ?敵の援軍は」
「はい、敵、第九艦隊の旗艦とその部隊は離脱して行きます、従属する部隊もそれに続く模様!」
「……よし、邪魔が入らぬうちに孤立した部隊を総攻撃、降伏に至らしめる」
そして時に慎重に、時に大胆に、戦況を見て取る
結果、孤立したとは言え、数の上でまだ勝っている
「
「うむ……次は第七艦隊だ、”魔法のタネ”が露呈する前に一部隊でも多く潰すぞ、工作部隊の艦に作業を急がせろ!」
「はっ!」
残った
これに勝るためには、先ず、
――その為の心理戦
常に命のやり取りをする戦場では特に危険に敏感になっている事もあり、この心理的錯覚は実に有効であった。
現実には、勿論そんな兵器が戦国世界で造れるはずも無い。
実際にはスマートフォン一つを例にとっても無理なのだから……
兎にも角にも
――そして頃合いを見て派手に沈める……
つまり相手にそれを見せつけて、”これはミサイル攻撃に違いない!”と思い込ませる。
そういう風に敵を怯ませている隙に、救援の来ない、敵中でなく”味方中孤立”という、なんとも奇妙な現象をおこした、切り分けられた敵小部隊を各個撃破していくのだ。
――どんなに相手が大軍でも戦い様はある
――軍百万にして百万精鋭全てが同時に、限りある戦場で、存分に武を振るえる訳では無いのだ
と、鈴原
「流石だ……
後は……見捨てられ、士気の下がりに下がった敵を次々と降伏させて行くだけ。
そして今度は、拿捕した敵艦艇の一部を使って工作部隊に同様の細工をさせる。
……事が露呈するまではこれの繰り返しだった。
――
―
「炎上した味方艦を確保できたのか?」
混乱甚だしい
その人物は、痩せて見栄えのしない体格で、横に細長い目は開いているかも怪しい。
だが、其処から時折覗く鋭い視線は、ギラついた刃物のように鋭い。
「はい……長谷部様の推測通り、精巧な偽物でした」
事の異変にいち早く気づき、裏付調査を指示していた
「小賢しい事を……それに敵は”
「直ちに残った温存兵力を纏めて、所属不……
――
―
「それで戦果は?」
俺は
そして
「はい、
――
「以後、敵第十二艦隊が
頷く俺に
「味方の被害は戦艦”七”に工作船”十二”、死亡者百二十二人、負傷者二百二十三人、沈めた敵戦艦数”九十五”、拿捕した戦艦は”五十四”、捕虜にした
――敵兵力のおよそ一割近くに損害を与えたのか……上出来だ
また、敵が
普通は一方的に勝っている状況、それも大軍相手に……なんて状態だと調子に乗って撤退の判断を誤りがちだが……
常時冷静さを保てる
「ああ、ご苦労だった
「
「ああ、ほぼ全て捕らえた、被害も軽微だ」
”ほぅ”と
「ついでに言うと”おまけ”の方も問題なくあっさりと手に入ったよ、今は併せて
「さすが
そして、
「では……
確認する
「ああ、傘下に降った。以降は
俺はそんな
「まぁな、ちょっとばかり”
と……
第二十六話「
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