第59話「”暁”最強部隊?と鋼の協力者?」前編(改訂版)
第十九話「”
ギィィィーーン!
「ぐはぁぁっ!」
一方は数百の歩兵部隊で旗印は”
ザシャァァッ!!
「ぎゃぁぁっ!!」
奮戦していた指揮官らしき人物が斬り倒され、僅かに残った兵達も我先にと蜘蛛の子を散らすかのように敗走し始める。
ワァァァァッッ!!
そしてそこに残る揉みくちゃに踏まれた旗印……
それは鮮やかな紅地に
「はあっはっはっはぁーーーー!!」
敵が去った山道で甲高い高笑いが響く。
その声は、四人の壁の様な屈強なる鎧武者がお互いの背を向かい合わせに警戒する中央付近から聞こえてくる。
「はあっはっはっはぁーーはぁーーはぁっ!」
前後左右を雄雄しい武者達に囲まれた中央付近で、
囲いの外部からは殆ど確認が出来なかった。
「はっはぁーーっ!?がっ!がはっ!ごほっ……はっ……うぇっ」
少しばかり勝利に浸る尺が長すぎたのだろう。
調子に乗りすぎたともいう。
「がはっごほほっ!うえぇぇーー」
声の人物は
「だ、大丈夫でありますかっ!?
「がはっげほっ……」
咳をする度にガチャガチャと鎧の繋ぎ目が擦れて鳴る人物は、
自分の四方に立つ兵士達どころか、自らが着込んだ鎧にさえ埋もれてしまいそうな……
腰に差したどこにでもある刀が長すぎて、まるで串に突き刺された雀のような見た目の極めて小柄な少女であった。
「げほっ、けほっ……ふ……ふはぁ」
やがて少女の咳は次第に
「無理して高笑いなんてするからですよ、
呆れた様な声で、少女を囲っていた兵士の一人が忠告をするが……
「……って、誰が
――カチャ!カチャ!
ひっこんだ咳が
怒鳴る少女が今も……いや、先程からずっと”つま先立ち”でいるから。
――カチャ!カチャ!
お尻と
「いや……でもなぁ」
「う、うむ……」
威圧的に上位者然とした言葉使いで部下を一喝する少女であったが、
なんとも妙な感覚に、思わずお互いの顔を見合わせる彼女の部下達。
キッ!
「はっはいっ!了解いたしました
「はっ無論承知致しております!
幼子のようなドングリ眼でツインテールの少女にひと睨みされた二人は、姿勢を正して慌てながら敬礼する。
「ふんっ!全く……
この小さい
彼女こそが、本州西の大国”
小柄で可愛らしい風貌とは裏腹に、軍を率いては”天性の直感”と”呆れるほどの強運”を備え、凶悪なまでの軍の強さを誇るという……
――通称”戦の子”
参謀である”智”のアルトォーヌ・サレン=ロアノフと並び立つ”武”の
更に付け足すなら、
「えーと、でわっ!!引き続き”
――とはいえ、
見た目は完全に小学生高学年……
そんな名将にはとても見えないが、実際、彼女は
「敵襲っ!!我が部隊側面に伏兵部隊、三時の方向ですっ!」
「にゃにぃぃっ!側面なのか……三時?三時……えっと……」
部下の報告に、全く明後日の方向を睨みながら叫ぶ
「三時って?どっちだぁ?……えっと……うんっと……」
「
「う……うう……むきーーーー!!」
指示をせっつく部下の声に、少女のツインテールが逆立った。
「三時……三時……のおやつはブンメイどうぅぅーーっ!!」
ガチャガチャとサイズの合わない鎧に埋もれながら……
「ちょ、ちょっと!?
「
慌てて護衛の四人がそれに続き――
おおぉぉぉぉっーー!!
続いて兵士達も
ドドドドドドドッ!!
ドドドドドドドッ!
「うわっ!!」
「な、なんだとっ!?」
そして
なんという偶然か!
綿密に計算され尽くされたはずの
第二の伏兵部隊が待機状態で伏せていた場所であったのだ!
「にゃっ?にゃっ?……ちょうどいいのだ!蹴散らせーー!!」
おおぉぉっーーーー!!
「わぁぁっ!なんだ!?どうして
「ぎゃぁぁっ!!」
「うわぁぁっ!!」
完全に不意を突かれた
そして、
「て、てったい!撤退だぁ!!」
否応なく、その場からの離脱を余儀なくされる。
「
「ん……おおぅ!!よし!再度突撃するぞぉぉっ!」
ただでさえ寡兵を補うための
散り散りに敗走する
ワァァッーー!!
オォォォーー!!
「くそっ!滅茶苦茶だっ!終始支離滅裂すぎる……こんな、こんな指揮官に我らがっ!?」
ドドドドドドドッ!!
ドドドドドドドッ!!
ドドドドドドドッ!!
「ぐっぐあぁぁーーーー!!」
こうして――
ここまでなんとか耐え凌いできた
第十九話「”
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