罪将棋

ぺるそなを

1手罪 ようこそ将棋監獄へ

「もう一度だけ聞こう…

君はやめることができるか?」


壁の向こうから何度も何度も

同じ問いが繰り返され、

正直ウンザリしていた。


「やめるも何も俺は

将棋なんか指したこともない!

何回言わせれば気が済むんだよ!」


周りは壁と鉄格子に囲まれ、

まるで穴熊な気分だ。


どうやらここにいるのは

俺一人ではないらしいが、

この声の主の顔を拝むことはできない。


「君も強情だね。

その根性は気に入ったよ…」


外にいた看守が扉の鍵を開け、

俺の目を塞いだまま、

何処かへ歩みを進めた。


壁の向こうから聞こえてきた声が

俺のすぐ近く、すぐ正面に近づいた。


「私と一局指してから考えればいい…

将棋をやめるか、それとも

将棋をやめさせる側になるか」


時の流れは早いもので、

あれからもう四年…


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