第144話 ファントム・マインドDLCをプレイしよう(1)
ファントム・マインドは1900年代、特殊な銃弾を駆使して『ファントム』と呼ばれる人型の怪物を倒す『幻影狩り』という者たちの荷物持ちである奴隷を主人公としたものだ。
ストーリーの主なあらすじは、主人公は若い幻影狩りを連れられて、最近見つかったジャングルの奥深くにある巨大な遺跡に足を踏み入れた。
だがトラップが作動して皆がバラバラになってしまう。
主人公の目的は脱出し、自由の身になること。主人公は様々な武器を使い、敵を倒していく。
また幻影ファントムは力を貸してくれるものもいて、主人公はそんな幻影の力を借りることもある。
ファントム・マインド 幻影の島。
そう名付けられたDLCは事実上の第二作目と呼ばれている。
主人公がダンジョンから脱出をして数年が経った。
幻影狩りとなった主人公はファントムたちが生まれるとされる呪いの場所、幻影島に向かうことになる。
広大なマップと様々な新要素の数々は、ファンマイのオタクたちからも当初は賛否両論だった。
だがその難易度と戦略の幅に、ちょろいファンマイが沼に落ちていくのに時間は掛からず、幻影の島は3年ほど経った今でも圧倒的好評という評価を獲得したのだ。
「
『怪しい勧誘?』
『ツユキちゃん、キミのファンはこの作品で幾度となく発狂しているキミを見てきてるんやで・・・』
『な、なんでこの作品で縛りを……?』
「じゃ、じゃあ今日はこの狂った島を攻略していく仲間を紹介していきます……!まず、私の師匠で、憧れの人!下切雀さん!」
「えっへん!チュン!師匠で憧れの人の下切雀だチュン!」
『出たわね。師匠で憧れの人』
『ツユキちゃんの好感度カンスト雀』
『ツユキちゃんとのファンマイコラボ待ってたぜ』
「次にさっきからショットガンを訓練所で試し打ちしているメア博士!」
「今日はよろしくね。なんか武器ランダム縛りって聞いたけどショットガンは殴れば鈍器だし、撃てば銃器、歩く姿は戦場の華だよ。よろしくね」
『出たわねショットガンジャンキー』
『何言ってんの?』
『メア博士に大楯と槍装備させようぜ』
「最後に我らがメンタルの要!元気なまほろさんです!」
「やっほー!三石まほろだよ!今日は元気要員として初見プレイしていくよ!好きな武器種はデカいハンマー!もちろん銃も好きだし、なんか魔法?とかもあるらしいからそれもやってみたいよ!」
『す べ て の 元 凶 』
『今日も元気でにっこり。その余裕が最後まで持つと思うなよ』
『デカいハンマーを扱うためにはたくさん筋力増やしてムキムキになるんやで・・・』
「あ、私は露木静です。今日はみんなと遊べて嬉しいです」
『はい可愛い』
『天使』
『VTuber界唯一の良心』
「では僭越ながら私、露木静が今回のコラボのルールを説明をさせていただきます」
こほん、とツユキちゃんが咳払いを一つする。
表示されるのは、ツユキちゃんがわかりやすく作ってくれた説明画面だ。
「幻島は大ボスによって、チャプターが分かれてはいる広い島が舞台のオープンワールドのゲームです。私たちは島にいるボスたちを倒し、レベルを上げないといけません。ボスを倒すためにレベルを上げて、武器を拾い、ステータスを振って、自キャラを強くしていくのが通常の流れです。
ですが、今回私たちは武器はランダムです。それどこかステ振りも力を貸してくれるファントムの種類までもランダムで選択します。
……これにより何が起こるかというと、選ばれた武器を装備できない可能性があります」
『草』
『せやな』
『器用値が必要な武器なのに器用値にステ振りできないってことがあるわけか』
「武器が大槌になっても、筋力がなく装備ができない。だから初期の装備でずっと戦わないといけないことがあるわけです。そしてファンマイの重要な要素であるファントム。封印されている彼らを解き放つことでファントムは力を貸してくれます。ファントムは力を貸してくれるかわりに装備者に負担を掛けます。例えば、筋力強化のバフがついているファントムは、魔力デバフを持っていることが多いです。今回、装備できるファントムすらもランダムです。つまり終わりです」
『やばすぎる』
『ち、ちなみに難易度は……?』
『マルチなので……』
「そうです。幻島は、マルチだと強制的に難易度は
「ということで、チュンたちが苦しむところ見ててね……」
「たのしみ!!!!!」
「ショットガンくだたい」
『メア博士もう既に脳が・・・』
『今、19時か……日付変わるまでに終われるか……?』
『最悪、まほろちゃんだけ残してみんな寝ればええからへーきへーき』
「ではさっそく開始していきます……!」
____ボーーーー。
船の汽笛が鳴る。
幻島は、誰にでもその門を開いている。
ファンマイの本編をクリアした者には特典やバフ、キャラの引継ぎがあるが今回は完全新規データだ。
容姿は既に作ってある。
このゲームには、クラスみたいなものがあってキャラの土台のようなものを決められる。
聖職者だと盾や槍、剣などが初期装備に入っていたり幻影使いは杖やダガーが初期装備にあり、魔法のようなものが使える。
小柄な女性キャラで、ランダムで選ばれた初期武器はリボルバー。性格もランダムにしたが臆病者の羊飼いになった。
臆病者は、少しだけ移動速度の上昇補正がつくが筋力が上がりにくい。羊飼いは動物系のファントムに対する親愛度補正がつくらしいけど、性格が無限に存在し、未だにwikiが更新されてるだけあって詳しいことはあんまりわからない。
武器のリボルバーは器用値もいるけど、筋力も必要になる武器だ。
臆病者とは相性が悪い。
船が島につき、四人のキャラクターが降りてくる。
ツユキちゃんは大楯を持っている。
メア博士はショットガン。ショットガンと相思相愛だ。
そしてまほろちゃんは……
「杖チュンか?」
「うん!杖だよ!性格は豪胆な大酒飲み!どっちも筋力バフに魔力、器用値デバフ!」
「まほろさん殴り魔ですか!?」
殴り魔。
魔法使いでありながら、敢えて魔法ではなく武力で自らの力を示す者たちの総称だ。
『殴り魔はキツい』
『火力が出ないからなぁ……ほんとうに置物になってしまう』
『初心者で殴り魔はさすがにリセットもありなんじゃ……』
「むっ!むっときたよ僕は!例え評価が低くても、僕は殴り魔としてこのゲームをクリアしてみせる……!」
まほろちゃんが燃えている。
そして私も燃えていた。
一度だけ、殴り魔でのクリアを目指したことがある。
ソロで、難易度も低くしたけどそれでも勝てなかった。
悔しかったけど、心が折れ、私は殴り魔を封印した。
だけど年月が経って、まほろちゃんがあの日の無念を晴らしてくれるかもしれない。
「みんな、絶対クリアするチュン……!」
「はい!……って、あれ?まほろさんは……」
「うおー!見て見て!なんかおっきい石像みたいなのがあるよ!」
まほろちゃんが入って直ぐにある平野にそびえたった今すぐ崩れそうな人型の石像に近づいていく。
「あ」
「まほろさん気を付けてください!」
「え?」
まほろちゃんが近づくと同時に、ゆっくりと石像が動きだした。
画面下部に表示されるのは長い体力バー。
___
ファンマイ名物初見殺し。
初期位置に配置された最強角の中ボス戦が始まった。
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ゲーム内の設定を書いたんですけど、物語にはあまり関わらないのでななめ読みで大丈夫です。
次回から本番ですが、更新日は少し遅れて日曜日とかになると思います。
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