元・運動音痴の体育論 ~逆上がりができない子供たち(と親御さん)へ~

@FLAT-HEAD

はじめに

 世の中には、中学生になるまで逆上がりができない子供がいます。(おそらく少数だとは思いますが、中学生になってもできない子もいるでしょう)

 私もまたその例に漏れず、中学生になるまで逆上がりのできない、いわゆる『どんくさい子』でした。

 そんな私ですが、大学に入る頃にはほとんどのスポーツを人並み以上にこなせるようになり、もうすぐ中年と呼ばれそうな年齢になった今でもかなりの体力を維持しています。

 その経験を活かし、スポーツができない少年少女やそういった子供を持つ親御さんたちに何か役立つアドバイスができればと思い、これを書いた次第です。



 まず最初に言わせていただければ、私は現在の学校で行なわれている体育教育は少々おかしいんじゃないかと思っています。

 親御さんたちは自分が小学生だった頃、もしくは中学生時代を思い出してみてください。小中学校の体育教師というものが、体育の授業において何かを『指導』してくれたことがあったでしょうか?

 多くの場合、体育の教師というものはただサッカーやソフトボールをする子供たちを『見ている』だけ。そして「ああ、この子はできる子だな」とか「この子は運動が苦手っぽいな」というのを『評価する』のみで、技術的なことはほとんど教えてくれなかったのではないでしょうか。

 そりゃ教師も仕事ですから、多少はコツっぽいものを教えてくれるかもしれません。しかし自分がいわゆる『どんくさい子』だった場合、そのアドバイスが逆上がりや50メートル走のタイムを縮めるのに役立ったことがあったでしょうか?

 体育教師というものはおう々にして、子供の頃からスポーツの得意だった人がなるものだと思います。それゆえ運動音痴な人間が『どうしてできないのか』が理解できず、ただ根性論を押し付けたり、自分のアドバイスが通じない=できない子だと決め付けてしまうのかもしれません。


 サッカーにせよソフトボールにせよ、まずルールを知らないと話になりません。ましてやその競技に興味さえ持たずに育ってきた子にとっては、『どうすることが皆の役に立つプレイなのか』さえ分からないのです。

 そんなことも知らない子をいきなりゲームに出して、活躍しろというほうが無理ではないでしょうか。

 サッカーにどういうポジションがあり、それらがどういう役割で、どう動くのが仕事なのか。それらを知らずになんとなくフィールドに立たされても、ただボールを追いかけて右往左往することしかできません。

 そんな中、サッカー教室などに通ってきちんとした指導を受けている子が有利になるのは当然で、どんくさい子はただ走り回って無駄に疲れ、そういった子の引き立て役にされることになります。

 ましてやそこで上手い子に「ちっ、使えねーな」みたいなことを言われて、体育の授業が好きになるでしょうか?

 その結果、できない子はスポーツに対するやる気そのものを失い、自軍のゴール前で自分と同じレベルの子供たちとダラダラするだけになって、また体育の成績が落ちるという悪循環におちいるわけです。


 つまり今の体育教育は『最初からできる子』と『できない子』をより分け、の才能を評価しているだけで、『教育』と呼べるようなことはほとんどしていないのです。

 これでは体育嫌いの子供が増えて当然ですし、大人になっても運動の習慣が身についておらず、老年になってから体のあちこちを傷める人が増えるのも仕方のないことではないでしょうか。

 このエッセイでは子供を体育嫌いにしないための練習方法だけでなく、大人になってからも役立つような運動の『基本』も紹介していきたいと思っています。

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