ドラゴン使い
それが故に
しかし、そのことにも既に慣れた新伊崎千晶にとっては、ただハエやカがまとわりついてくる程度の煩わしいことでしかなく、恐れる必要さえなかった。
なにしろ、化生の中でも私達<超越者>に次ぐ上位の存在の一つであるドラゴンさえ使役できるこいつは、この程度の化生など、犬猫を手懐けるよりも容易く服従させることができるのだから。
故にこの時も、
『待て。余計なことをするな…!』
と黒い獣に命じた。
すると、赤い四つの目を持つ黒い獣は、
『ヴヴヴ……』
などと唸りつつ抵抗する様子も見せたものの、結局は新伊崎千晶に一睨みで屈服させられ、
『元いたところへ帰れ……!』
と命じられ、渋々ながら踵を返して姿を消したのだった。
その黒い獣は、<
なにしろこいつ一匹で地球上のすべての軍隊を退けられるほどの力があるからな。
新伊崎千晶のドラゴン使いとしての力に引き寄せられてその近くに現れたのだろう。他の場所に現れていたら一瞬で周囲の人間達が食い殺されていた可能性が高い。
人間達は、まるで気付くこともないうちにとんでもない危険に曝された上で、まるで気付くこともないうちに命を救われていたのだ。
実は、こういうことも珍しくない。
もしかしたら、呑気にパソコンやスマホの画面を見ている奴らの背後に、この手の怪物が潜んでいたりするかもしれないぞ。
食い殺された痕跡が残れば他人に気にしてもらえるかもしれないが、中にはその存在の痕跡そのものを消し去ってしまう奴もいるからな。
行方不明になったことさえ誰にも気付かれず、最初からいなかったことにされる場合もあるのだ。
そう、ンブルニュミハによってデータに変換され鏡の表面へと焼き付けられ、存在したという事実さえ抹消された、
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