ゆるい日常
クリスマスは終わり、しかし冬休みも毎日私の家に集まっては、宿題をしてお茶してキャッキャウフフとおしゃべりをしてそれぞれ好き勝手に遊んでと、月城こよみらは普通の中学生の毎日を楽しんでいた。
年の瀬も、新年も、何も変わらん。ただ人生を謳歌しているだけだ。新年早々、月城こよみが
「初詣行かない?」
と訊いてきおった。
「邪神を初詣に連れて行くとかどういう神経をしとるんだお前は~?」
「え~? いーじゃん別に~。そんな細かいこと言いっこなしだよ~。クリパもしたってのにさ~」
「ぐ……!」
まあ確かに、今さらではあるが……
「……」
ふと見ると、山下沙奈も行きたそうな顔をして私を見ている。
ああもう! 分かった分かった!
「行くか?」
と訊いたら、
「はい♡」
とか嬉しそうに頷きおって。しかも、
「じゃあ、私達も」
と
「ふん! こうなったらものはついでだ…!」
私は半ばヤケクソ気味に、女共には振袖を、唯一の男である肥土透には羽織袴を出してやった。
「お~っ!!」
「うわ! なにこれ~!」
「すげ~っ!」
などとはしゃぎおって。
ちなみに、以前は目の前で起こる超常的な出来事を<薬物による幻覚>だと思い込もうとしていた千歳も、私が隠そうともしないことからさすがに超常のそれだと認めざるを得なくなり、今ではむしろ当たり前のこととして受け入れている。
と、浮かれている奴らがいる一方で、
「……♡」
山下沙奈は一人、黙って嬉しそうに桜色の振袖を見詰めていた。
こういうのもこいつには無縁だったからな。
と言うか、最近ではむしろこういう格好をする奴の方が少数派のハズだが。
さりとて、以前のままではそれこそ死ぬまで縁がなかっただろうから、嬉しいのも当然か。
こうして皆で神社へと赴く。
すると、月城こよみらは、参道の端を歩こうとした。
『参道の真ん中は神の通り道』
というやつだ。しかし私は、堂々と真ん中を歩いてやった。
「あんたね~…!」
月城こよみは呆れ顔、他の奴らは苦笑いだが、
「まあ、クォ=ヨ=ムイさんも神様といえば神様だし……」
などと、肥土透だけはフォローしてきおった。
この地の<神>とやらが文句があるのなら相手をしてやる。遠慮せずかかってこい。
もっとも、そんなことになればそれこそ地球は破滅だがな。
私としても、相手が<神>となれば手加減する必要もなくなるわけだ。
それじゃさすがに困るだろう。
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