スーパーケモケモ大戦ブラックΣ
……どうでもいい。
激しくどうでもいい!
だが、貴志騨一成にとっては現時点で<命より大切なもの>の一つであるらしいのは事実だ。校則ではスマホの持ち込みは禁止されてるものの、弁当の包みの中に隠して持ち込み、部室に置いて休憩時間ごとにやるのだ。
「私達はあまり煩く言わないけど、見付からないように程々にね」
「……」
部長の
実際、月城こよみが、
「貴志騨君、先生に見付かったら没収だよ?」
と、注意とも言えない注意をしただけで本気の殺意を向けられ、咄嗟に防御反応を見せそうになったことさえある。
<力>を使いかけたのだ。
もはや人間離れした<妖気>だと言えよう。
さらには普段から、陰鬱に押し黙って一切話も聞かないか、たとえ注意を向けたとしてもじっとりと絡みつくような視線で他人を睨み付けるのである。
一事が万事この調子だから、たとえ容姿が人並みでもモテる要素など微塵もないのが分かるというものだ。
にも拘わらず、代田真登美も玖島楓恋も、それを気にする様子もない。特に玖島楓恋に至っては、
「貴志騨君にとっては大切なものなんだね♡」
などと、<驚異の胸囲>が象徴するその途方もない母性でもって包み込むように接するのだから、なるほどこれは勘違いするのも無理はないというものか。
故に代田真登美と玖島楓恋に対してだけは、あの身の危険さえ感じるような視線を向けることはなかった。
それどころか、幼い子供が母親に向ける、縋るような視線さえ見せるのである。
この時、貴志騨一成が二人に向けていたものは、もはや<信仰>と言ってもいいものだっただろう。
もっとも、その割には少々下衆な欲望も込みだったかもしれんが。
なにしろ、玖島楓恋の写真を盗み撮りしてはその画像を加工して、オリジナルの<驚乳ケモケモ少女キャラ>を作成し、私用のPC(こちらはクラブ活動で必要だからという名目で持ち込んだ)の隠し画像フォルダを膨れ上がらせていったのだから。
いやはや、よくやるものだとむしろ感心するよ。
これはこれである意味では<純心>というものなのかもしれん。
随分と下品な純心もあったものだがな。
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