第25話 魔王、勇者を倒す。
俺は、全ての記憶を取り戻した後、魔王城に二本の足を生えさせ、壊滅させた王国に城ごと移動させた。
移動後、元々住んでいた国民達を解放し、復興を始めさせた。
「さて、後は復興の完了待ちと勇者の反応待ちか......」
魔王城には、いつ勇者が王国に帰って来ても良い様に、魔王城に迎撃用の大砲備えている。
なので、さっき火薬を限界まで詰めた砲弾を勇者に向かって撃ったが、驚く程に、火薬や、武器は王国には溢れていた。
勇者ったら何してんだか......こんなもん俺らに受け渡したら流石に勝ち目無くなるんじゃね?ま、そもそも魔王城が移動するなんて普通は想像しねぇよな......。
そうして、しばらくすると、想像していた通り、地平線の向こうから勇者がやって来た。
「さぁさぁ、皆んな!勇者様のお出ましだぁ!」
「魔王!!次こそは!次こそはぶっ殺す!」
「よーし!フロガ、早速試してやろうぜ!」
「おうよ!俺様の最強砲弾をくらいやがれ!」
俺は、フロガに命令し、王国の前に立っている勇者に至近距離で大砲を撃った。
砲弾は勇者を直撃し、辺りを吹き飛ばす。
「クソッ!こうなったら特攻だ!」
「おい勇者!何をする気だ!?」
勇者は、次々と放たれる砲弾を避け、国内に特攻しようとする。
「フッフッフ......そう来たか。しかし!それは今の俺に対しては無駄だ!全員!なんでも良いから壁を固めろ!」
俺はそう国民達に命令すると、一斉に、レンガや丸太を持ち、壁を作り始めた。
「嘘だろ......?お前ら!魔王に従うってのかよ!」
勇者がその行動に驚くと、国民達は更に、勇者に罵声を浴びせる。
「何が勇者だ!俺らを放ったらかしにして、戻って来た時は、魔王に支配されるってな!」
「俺達の魔王は勇者より有能だ!俺達を確実に導いてくれる!」
「案外、勇者が悪魔で、魔王が天使なんてのもありえるかもな!ガハハハハ!」
「フーッハッハッハ!いや〜魔王ってやっぱり良いわ。まさか勇者より有能なんて言われる日が来るなんて......過去二回も死んだけど、復活して良かったー!」
俺が煽ると更に勇者は、怒りを露わにする。
「勇者の腕輪よ!俺に力をッ!」
勇者は、腕輪を天にかざすと、前にあった様に強く眩しい光を放った。
さて、今回はどんな力を見せるのだろうか......まぁ、良い。俺も新たな力を見せてやろう......
「何度復活しようが同じだ!魔王!くらええ!」
勇者は拳一撃で王国の壁を四割程破壊した。
「ククク......勇者よ!既に見ているかも知れんが魔王城の本当の力を見せてやろう」
俺は魔王城の足を飛び出させ、歩かせる。因みに、この足が出た時の魔王城の高さは、四十メートルに及ぶ。デカイ。
「お前こそ終わりだ勇者!俺の足とその腕輪、どっちが強いかな!?」
俺は足で勇者を踏み潰し、勇者は足の裏から抵抗する。
「うおおおお!魔王よ!甘いッ!」
勇者に足の裏からから拳を受けると、俺の魔王城は一瞬で砕けた.........
「あれええええ?」
しかし、その砕けた魔王城は勇者を下敷きにした。
「わお......こりゃたまげたなぁ〜」
「やったぜ!勇者をぶっ倒したぞ!」
「これで本当に終わりなのか?」
「.........反応が無いな......終わったのか......」
瓦礫から勇者の反応が無い......あっさり、終わったな。さて、復興再開するか!壁もまた盛大に壊してくれたし。
後、万が一勇者が生きてたらとの事も考えて、アレを作っておくか......。
こうして、魔王は勇者を長年の戦いをして、遂に討ち果たしたのだった?
一ヶ月後・・・
勇者を倒した後、魔王王国の復興はほぼ完了し、離脱用のアレも完成した。
勇者が埋まっているとされる瓦礫からは、いつの間に大きな木が生えており、常に自分から発光しているのか、夜でも明る過ぎるくらいに見えている。
俺はその気を勇者の木と名付けた。今でも切り落としたいと思うほど邪魔だ。
復興がほぼ完了した王国では、俺が王となり、次の目的として、隣の大陸に橋を渡す計画を立てていた。
この大陸は、もう俺の支配下だ。海をずっと渡って見える大陸はまだ俺の知らない王国や人間がいるはずだ。
はぁ......これで終わりだったらマジどうしよ......。
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